インタビュー
» 2019年11月01日 06時00分 公開

開発陣に聞く:ミッドレンジとハイエンドを“再定義” シャープに聞く、2019年秋冬モデルの狙い (2/3)

[石野純也,ITmedia]

超広角カメラには早くから注目していた

―― 超広角カメラに話を戻しますが、今年はiPhoneも超広角カメラを搭載し、一般にも広がった印象があります。このタイミングは狙っていたのでしょうか。

小林氏 これは本当に偶然です。もともとシャープは早くから超広角カメラに着手していた自負はありました。ハイエンドでは初代AQUOS Rから対応していましたからね。超広角カメラは、周辺がゆがむので若干不利な要素はありますが、抜け感のある写真が撮れます。あのときの感覚は間違っていなかった。グローバルメジャーは世の中にたくさんいますが、そういった皆さんが見落とすところにも目をつけ、早くから取り組んでいます。(iPhoneが超広角に対応したのは)ある意味、助かったところがあります。われわれができないぐらい、巨大なプロモーションもされていて、非常にありがたいと思います。どのメーカーだからというより、お客さまの興味関心が維持されることが大事ですからね。

平嶋氏 テレで撮るシーンと、広角を撮るシーンで求められるものは違います。望遠を撮るときは、シーンに合わせてカメラを用意するなど、事前に準備できる状況が多いのではないでしょうか。逆に広角は、普段何げなく道を歩いていて、いい風景が見えた瞬間に機材がないと撮れない。その意味で、スマートフォンに求められるのは超広角だと思い、今回あえて搭載しました。

―― 確かに、どうしても望遠が必要な場合、自分ならそれなりのデジカメを用意します。

小林氏 テレのレンズを否定するわけではありませんが、いつも言っている通り、値段もスペックの1つです。値段というスペックを見失わず、どうやって商品を作れるか。そこのバランスを見ながら採用を決めています。

1年先を見据えたとき、本当に戦えるのか

―― 1段上のAQUOS sense3 plusだけでなく、今回はAQUOS sense3もSnapdragonが600番台になりました。これも大きいのではないでしょうか。実機を触って、サクサク感が大きく上がった気がしました。

平嶋氏 そういう声は、AQUOS sense2のときからいただいていました。使い方も、時代によって変化します。今年で言えば、キャッシュレスがはやり、ポイントカードをスマートフォンに集約する流れもあります。タスクを切り替えるシーンも増えるので、要求するスペックは上がっています。1年先を見据えたとき、本当に戦えるのか。お客さまからすると、長く安心して使える方がいいと考え、一歩踏み出すことにしました。

小林氏 (Snapdragon 400シリーズでも)しんどさが見えるシーンは限られています。トランジションスケールアニメやタスクの切り替えは遅くなりますが、そこを犠牲にすれば、400番台を使った商品もありえるとは思います。グローバルでは、引き続きQualcommの主要なチップではありますからね。今後、400番台の商品が絶対にないかというとそんなことはありませんが、今回は、これで十分と思っていただきたい気持ちが先にありました。

平嶋氏 幅広い層の受け皿になる端末なので、そういったことが気になる方と、気にならない方がいます。両方にどうご満足していただけるか。価格とのバランスをどう取るかも考え、採用に至りました。

楽天向け「AQUOS sense3 lite」はかなり売れている

―― plus以外に、liteやbasicがあります。派生モデルの意味がよく分からなかったのですが、この違いを教えてください。

小林氏 単刀直入に言うと、liteは楽天モバイル専用モデルで、カメラが1つになっています。楽天の顧客を考え、少しでもお求めやすい金額にするということになったとき、それでもメモリ容量はあった方がいいので、メモリ(RAM)は4GB、ストレージ(ROM)は64GBにしています。実際、楽天でもかなり売れています

 もう1つのbasicは法人向けです。マルチタスクやローカルストレージの要望がないわけではありませんが、法人向けはそれが小さい。独自のMDM(複数のモバイル端末を管理するサービス)で管理しているため、指紋センサーを必要としないこともあります。そのため、カメラをシングルにして、指紋センサーも非対応にし、メモリとストレージも3GB、32GBにしています。

 無印からカメラを引いたものがAQUOS sense3 lite、そこからメモリと指紋センサーを引いたのがAQUOS sense3 basicということになります。前者は楽天モバイル、後者はソフトバンクにしかないモデルです。

AQUOS sense3とsense3 plusで背面の仕上げが違う理由は?

―― 以前から金属を使っていましたが、AQUOS sense3は背面がより金属っぽい質感になりました。この意図を教えてください。

シャープ AQUOS sense3(右)は金属を、AQUOS sense3 plus(左)は樹脂を背面に使っている

平嶋氏 アルミはAQUOS sense2のときから使っていましたが、あのときは上に塗装を施していました。反省とまでは言いませんが、もう少し金属感を出し、所有欲を高めるために処理を変更しています。アルマイト処理をかけ、金属の光沢感をそのままにしながら色をつける手法に変えています。素材の質感を出すために、今回はこうしたということになります。

―― 一方で、AQUOS sense3 plusは、樹脂を使っています。

平嶋氏 これは、AQUOS ZETA、SERIE、Xxといったモデルに近く、つややかな印象を与えたかったからです。ただ、難易度はAQUOS sense3の方が高かったですね。サイズが小さい中で4000mAhのバッテリーを搭載するため、中では異次元の構造改革をしなければなりませんでした。基板サイズを25%小型化し、その分バッテリーを搭載しています。細かく積み上げた分を、バッテリーのスペースに寄せたということです。

【更新:2019年11月1日12時25分 初出時に、AQUOS sense3 plusの背面の素材をガラスとしていましたが、正しくは樹脂です。おわびして訂正致します。】

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