インタビュー
» 2019年11月01日 06時00分 公開

開発陣に聞く:ミッドレンジとハイエンドを“再定義” シャープに聞く、2019年秋冬モデルの狙い (3/3)

[石野純也,ITmedia]
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「勝ちに行けるスマホ」を目指した「AQUOS zero2」

―― 次に、AQUOS zero2のお話をうかがいます。このモデルはAQUOS sense3とは対極にありますが、どういったコンセプトなのでしょうか。

シャープ ゲーミングに焦点を当てたAQUOS zero2
シャープ 篠宮大樹氏

篠宮氏 なんとなくハイエンドの時代が終わり、求められるものの1つはコストパフォーマンスが高い端末ですが、もう1つは明確な意思を持った方に、明確な意思を持ってお届けするスマートフォンです。今回は、ゲーミングに焦点を当てました。一度始めたら突き詰めたくなる、そういったユーザーにお届けしたい端末です。

 ゲーミングというと、取りあえずスペックを上げればいいという発想になりがちですが、AQUOS sense3もsense3 plusも、一昔前のフラグシップ並みの性能はあります。その中で、AQUOS zero2を買っていただくためには、なにかしら突き抜けたところが必要になります。そのため、前回と同様、軽量化に力を入れた上に、ディスプレイも4倍速にしました。

 これは普通にやろうと思っても、なかなかできません。明確な意思を持って開発するとお話ししましたが、ゲームを考えたとき、究極的には何を求めるのかを考えました。究極的には、やはり「勝ちにいきたい」という発想があるからです。

 世の中には、取りあえず時間をかければどんどん強くなるタイプのゲームもあります。そういうユーザーに対しても、ハイスペックで快適、かつ軽量というのは売りになります。長時間重いスマートフォンを持つと疲れますからね(笑)。もう1つのタイプのゲームは、技術力が問われるコンテンツで、対人戦だけでなく、自分との戦いもあります。そこに対する答えが、4倍速のディスプレイでした。

 スマートフォンのデバイスで、一番ユーザーが触れるのはディスプレイです。それがいかにいいかによって、ゲームをするときの体験や、勝ちにいけるかが変わってきます。遅延を減らし、視認性をよくするためにはやはり4倍速が必要ということで、これを導入することにしました。

―― デザインも、特に初代AQUOS zeroの背面は賛否分かれそうな印象でしたが、今回はよりすっきりしています。

篠宮氏 何かを突き詰めたとき、それがニッチになってしまっては、あまり意味がありません。より多くのお客さまに届ける商品にしたいと考えました。高級感あるデザインを維持しながら、ハイスペックや4倍速のディスプレイを取り込んでいきたい。そう考え、AQUOS sense系のモデルを意識しながら、取り組んできました。

小林氏 われわれがイメージしているのは、「エンジョイ層」と呼ばれる方々です。コアなゲームにはコアなゲーマーしかいないという印象がありましたが、配信基盤が整ったこともあり、今ではライトな方もコアなゲームを遊んでいます。その区分がなくなってしまったのが、今のゲームのプラットフォームです。

 ライトな層はパズルゲームを遊んでいるというイメージがあるかもしれませんが、実際に調べていくと、そんなことはありませんでした。コアな方がコアなゲームを遊ぶという相関関係はありません。その意味で、作り手と現場にギャップあった。そのギャップを埋めるのがAQUOS zero2です。

 カメラをデュアルにしたのもそのためで、篠宮は重くなるから嫌だと言っていました(笑)。確かにカメラを1個取れば、その分軽くなりますが、それは実際のお客さまが求めているものとは違います。トレンドにもある程度乗ったスマートフォンを考えたとき、デュアルカメラは必要で、そこから血のにじむような努力をしました。

篠宮氏 気づいたら、初代より軽くなっていたんですけどね(笑)。

―― 確かにゲーミングスマートフォンとは差別化できていますが、一方で、サムスンやソニーなどの競合も、最近はかなり“ゲーム推し”です。こことはどう差別化していくのでしょうか。

小林氏 “ゲームガチ層”の支持を得るには、まだハードルもありますが、すごく軽いなど、AQUOS zero2ならではの特異な価値もあります。イメージだけで選ぶのではなく、240Hzのディスプレイや重さは、ぜひ見ながら選んでいただきたい。確かにメモリ(RAM)が12GBの端末もあり、そこだけを比較されてしまうと不利になりますが、軽さとタッチパネルのレスポンスは、比類がないパフォーマンスになっていると思います。

 そのため、eスポーツへの協賛もしていますし、実際にプロの方にも触っていただいています。ゲームベンダーとも協業して、パフォーマンスの評価をいただくような取り組みもしています。

SIMフリーはプロモーション効果が大きい

―― 3キャリアに販路が拡大しましたが、SIMフリーについてはいかがでしょうか。

小林氏 AQUOS sense3もAQUOS zero2も、SIMフリー版はかなり前向きに検討しています。もちろん、売れている台数で言えばそんなに大きな比率ではありませんが、SIMフリーのユーザーはやはり声が大きい。AQUOSブランドの認知度にもつながります。

 実際、SIMフリーで出してきて、AQUOSに対する好感度は目に見えて上がっていて、手応えを感じています。他の大手メーカーがあまり出していないハイエンドをやっていることも大きいと思います。台数が出るかといえば、そうではないですが、プロモーション効果は非常に大きい。注目していただき、Twitterなどで話題になることも多いと感じています。

取材を終えて:ゲーミングでどのように差別化を図れるかがカギ

 もともとコストパフォーマンスの高かったAQUOS senseシリーズだが、AQUOS sense3は、より幅広い層に受け入られる端末になった印象を受ける。“中間”のニーズが拡大する見通しを受け、AQUOS sense3 plusも従来のplusが付くAQUOS senseより、さらに売りを明確化していることがうかがえた。

 一方で、ハイエンドモデルは価格相応の個性が求められるようになる。AQUOS zero2は、ゲーミングでそれに応えたモデルだ。確かに4倍速のディスプレイや軽さといった特徴は他のモデルにはないもので、差別化がきっちり図れている印象を受けた。

 Androidスマートフォンで国内シェアトップを維持しているシャープだが、市場の動向を見極め、それにフィットする端末を送り出し続けているのが、成功の要因といえる。ただ、インタビュー中にも指摘した通り、ゲーミングは競合他社であるサムスンやソニーも目をつけている分野だ。ゲームコンテンツの完成度の高さという点では、iPhoneも強力なライバルになる。

 eスポーツへの協賛を続け、いかに“ゲームと言えばAQUOS zero2”といったイメージを作り上げていくかが、成功を左右するカギになる。ゲームに特化した周辺機器を強化する必要もありそうだ。

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