長期的には、KDDIとLMの双方が持つデータを生かし、新たな事業を展開することも視野に入れる。KDDIがローソンにも2.1%の出資を行い、資本業務提携を結んだのはそのためだ。ローソンの竹増貞信社長は「Pontaを核にしながら、令和型の次世代コンビエンスストア(CVS)を一緒に追求していける」と語る。高橋氏は、その具体例を次のように話す。
「KDDIは本人認証の技術やロケーション情報、ネットの店舗などを持ち合わせている。一方で、リアルの消費情報、あるいは店舗情報は、ローソンが持っている。(中略)個人別の趣味趣向に合わせたレコメンドや、エリアごとの動態情報、5Gテクノロジーを使った在庫管理で、お客さまの『今』という時間にマッチングできる。(中略)モバイルオーダーのプラットフォームや、認証・決済プラットフォーム、5Gのテクノロジーを使うロボティクスでの無人受取で、ストレスフリーなコンビニを実現できるのではないか」
竹増氏も、無人店舗で酒やたばこを購入する際の年齢確認や、夜間の医薬品販売、災害時の対応などを挙げつつ、「そういうところに、もっとデジタルを使っていかなければいけない。ぜひアイデアをいただきたい」とKDDIに期待を寄せる。ローソンには同じキャリアのドコモも2.09%出資しており、d払いやdポイントは継続する意向を示していたが、KDDIとの提携は店舗開発や技術の活用にまで踏み込んだものになっている。これが、0.01%の差ということなのかもしれない。
とはいえ、会見で語られたのは“構想”に近い将来的な話で、具体像が見えてくるには時間がかかる。ローソン側がシナジー効果として「まず期待するのは、au PAYにおける販促効果」(同)だ。竹増氏のコメントを受けたかのように、KDDIは12月19日にローソンとの提携記念キャンペーンを発表した。12月31日まで、ローソンでau PAYを使うと、最大20%がau WALLETポイントで還元される。しばらくの間は、こうした大盤振る舞いがユーザーにとっての直接的なメリットになりそうだ。
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