日本ではドコモが2020年の春、auやソフトバンクが3月に5Gを商用化することを受け、日本メーカーも本格的に端末開発に乗り出した。CESでは実機こそ公開さえなかったものの、シャープはプレスカンファレンスで8Kの動画撮影に対応した5Gスマートフォンの投入を宣言。京セラも、5Gに対応したタフネススマートフォンのコンセプトモデルをブースで公開した。
京セラは日米双方で事業を展開しているが、北米では2020年に5Gスマートフォンを投入する。その開発プラットフォームを生かし、「日本での投入も検討している」(取締役常務執行役員 通信機器事業本部長 厳島圭司氏)。米国はスマートフォン向けの5Gサービス開始から1年たつが、「普及状況はまだまだで、キャリアも2020年が本格的な元年と位置付けている。それに乗り遅れないよう、われわれも力を入れている」(同)という。
Verizonと共同で行ったスタジアムでの実証実験を披露したのは、ソニーだ。スポーツ中継に使う業務用の動画カメラに、Xperiaをベースにした5G対応の試作機やエンコーダーを取り付け、ミリ波帯で映像を送る仕組みを公開した。8Kと5Gの組み合わせをアピールしていたシャープも、映像のアップロードを5Gで行う、カメラ搭載のドローンを展示していた。
もっとも、CESで5Gの多彩なユースケースが示されていたかというと、必ずしもそうではない。AR、VRグラスの展示が増えていたり、AI関連サービスの展示は会場の至るところで見かけたりと、5Gにつながりそうな製品、サービスは多かったが、普及の道筋となる具体像を描けていたとは言いづらい。
京セラの厳島氏が「北米も日本も、先に5Gありきで製品やネットワークを作り、その中からお客さまがユースケースを考えるという方向にかじを切りつつある」と語る通り、今はまだ、端末やネットワークが先行しているタイミング。メーカー側も手探りというのが本音だ。諸外国と比べ、出遅れたと指摘されることもある日本の5Gだが、その意味ではまだまだチャンスがあるといえる。
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