世界を変える5G

30万円を超える折りたたみスマホ「W20 5G」が中国で発売 Galaxy Foldの高級版山根康宏の海外モバイル探訪記

» 2020年01月22日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]
W20 5G 中国限定の高級折りたたみスマホ「W20 5G」

 2019年は折りたたみスマートフォンが大きな話題となりました。曲がるディスプレイは製造コストもかかるため、各社の折りたたみスマートフォンは日本円で20万円以上と値付けはかなり高くなっています。ただでさえ高い折りたたみスマートフォンですが、中国では高級モデルとして30万円を超える製品が出てきました。それがSamsungの「W20 5G」です。

W20 5G W20 5GはChina Telecomとのコラボ品。キャリアの店舗でも販売している

 W20はSamsungのGalaxyシリーズではなく、Samsung中国とChina Telecomによるコラボモデル「W」シリーズに属する製品です。このWシリーズは「心系天下」(XinXiTianXia、シンシーティエンシア)という高級ブランドとして毎年1機種ずつが出てきました。いずれも縦折式のモデルで、ここ数年はフリップ部分が表も裏もデイスプレイ、すなわち「閉じればスマートフォンスタイル」「開けば10キーをそなえたガラホスタイル」として使える製品を輩出してきました。

W20 5G 心系天下は縦折スタイルの製品がこれまで出てきた。これは2019年の「W2019」

 SamsungとChina Telecomの両者は、2020年の心系天下も縦折り式としたかったかもしれませんが、開発が間に合わなかったため、横折式のGalaxy Foldを高級化して「W20 5G」として出したのかもしれません。China Telecomとしては5Gを開始し、他の通信キャリアと差別化するためにも心系天下新モデルのリリースを遅らせることはできません。なお、縦折り式の折りたたみスマートフォンはMotorolaが「razr」を発表しましたが、1月の販売予定が延期されるなど、他社も安定した品質の製品を送り出すのには苦労しているようです。

W20 5G 5G対応製品であることもアピールしている

 さて、W20 5Gの基本スペックはGalaxy FoldのプロセッサをSnapdragon 855からSnapdaragon 855+へと引き上げ、より高速化が図られています。メモリ12GB+ストレージ512GB、外側4.6型+内側7.3型のディスプレイ、内外のトリプルカメラなど他のスペックはGalaxy Foldの5Gモデルと変わりません。

W20 5G 閉じた状態ではGalaxy Foldとの見た目はあまり変わらない

 背面はホワイト仕上げ、うっすらとピンク色が隠されているようです。下部には心系天下のロゴが印刷されています。またカメラ部分を見るとLEDフラッシュが1つ増え、2つになっているようです。

W20 5G 背面はLEDライトが増え、ロゴが入っている

 一方、側面はフレームの角をきっちりと目立たせたデザインとなっており、Galaxy Foldとは異なる印象を与えてくれます。シャープなイメージは高級感だけではなく、どことなく「メカっぽさ」も感じさせてくれます。

W20 5G W20 5Gを閉じて側面から見る。フレームは角をしっかりと目立たせている
W20 5G こちらはGalaxy Fold。フレーム角の仕上げが異なることが分かる

 本体を開くとフレーム部分の違いはあまり目立たなくなり、Galaxy Foldと見た目はほぼ同等です。

W20 5G 開いた姿はGalaxy Foldとあまり変わらない

 ところで、Galaxy Foldはディスプレイを折りたためることをアピールするために、壁紙には蝶のグラフィックがデフォルトで表示されます。一方、W20 5Gは蝶ではなく花のグラフィックが標準となっており、イメージを変えています。

W20 5G W20 5Gのデフォルトの壁紙

 プリインストールアプリには心系天下のカスタマー向けアプリやChina Telecomのアプリが入っています。

W20 5G W20 5Gならではのプリインストールアプリ

 中国市場でのSamsungスマートフォンは、ここ数年、存在感を全く示せないほどシェアが落ち込んでいます。しかしこの心系天下シリーズは固定ファンが多く、高級スマートフォンとしてのブランドも確立されています。価格は標準版が19999元(約31万7000円)ですが、この価格に価値を見いだす消費者が中国では一定数存在するのです。なお、Galaxy Fold 5Gの中国の販売価格は15999元(約25万3000円)なので、W20 5Gは6万円ほど高いことになります。

W20 5G China Telecomの5Gの広告にも登場。他社との違いを高々にアピールしている

 Samsungは今後、縦折り式のスマートフォンも投入する予定だといわれています。そちらのモデルも高級版として心系天下シリーズから出てくるのか、気になるところです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月05日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  4. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  5. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  6. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  7. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  8. サイゼリヤの“注文アプリ”が賛否を呼ぶ理由──「使いやすい」「紙メニュー前提」など多様な意見 (2025年11月23日)
  9. Z世代で“友人のInstagramアカウント乗っ取り”が流行? いたずらで済まない不正アクセス禁止法違反 保護者が注意すべきこと (2025年12月04日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー