フォルダブルスマホになって帰ってきたMotorolaの「razr」、使い勝手はどう?CES 2020

» 2020年01月11日 06時00分 公開
[村元正剛ITmedia]
razr Motorolaの縦折り型スマートフォン「razr」

 米ラスベガスで開催されたCES 2020のLenovoの展示会場に、Motorola製のAndroidスマートフォン「razr(レーザー)」が出展されていた。折り曲げられる有機ELディスプレイを搭載したフォルダブル端末で、世界的な大ヒットを記録したフィーチャーフォン「RAZR」のデザインを受け継ぐモデルだ。

 razrは、2018年11月にLenovoグループが北京で開催したイベントで発表された。米Verizonから今月発売予定(予約が殺到し、発売日を延期したそうだ)。なお、日本での発売は未定だ。

 LenovoはCES 2020を機に発表した新製品が多く、razrは展示会場での主役ではなかった。しかし、世界から集まった取材陣は、razrを手にして懐かしがったり、楽しそうに折り曲げたり、開いたり……。関心の高さをうかがえた。

 筆者は、2006年12月にNTTドコモが発売した「RAZR(M702iS)」を使っていた。その使用感は半ば忘れかけているが、約13年ぶりに進化したrazrに触れたインプレッションを述べたい。

razrを手にした第一印象は「小さい」ということ。筆者がこれまでに触れたフォルダブル端末は、Samsung Electronicsの「Galaxy Fold」や、Huaweiの「HUAWEI Mate X」(日本未発売)など、標準的なスマホよりも大きく、開くと大画面を利用できることをセールスポイントとしている。一方、razrはかつてのRAZRと同等のサイズ感。折りたたみ時は手のひらに収まるほどコンパクトになる。

razr 折りたたむと、こんなにコンパクト
razr 開くと、縦横比21:9の6.2型の大画面を利用できる

 6.2型の有機ELディスプレイは、縦横比が21:9で、かつて主流だった“折りたたみケータイ”と同じように、縦方向にピタッと閉じて、パカッと開ける。実際の開閉操作において、ディスプレイを折り曲げているという感覚はしない。本体の重さは約205gだが、薄いためか、重くは感じなかった。

razr 折りたたみ時の左側面
razr 右側面に電源キーとボリュームキーを搭載
razr 途中まで開いた状態
razr 開いた状態の側面。最薄部は6.9mm
razr 背面は、下部分にメッシュ状の表面加工が施され、指紋が付着しにくい
razr ヒンジ部は隙間が目立たないほどピタッと折りたためるが、ディスプレイは鋭角には曲がらず、曲線を維持してヒンジ部に収まる構造が採用されている

 オープン時は、標準的なスマホと同じように操作可能。Motorolaの「moto」シリーズのスマホと同じように、AndroidのベーシックなUI(ユーザーインタフェース)が採用されている。なお、クイック設定パネルに「レトロモード」という項目があり、これをオンにすると、フィーチャーフォンのRAZRさながらの画面に切り替えられるという遊びが盛り込まれていた。

razr 「レトロモード」に設定して「電話」アプリを使った場合。ただし、「レトロモード」が有効になる画面は限定的で、多くのアプリでは通常の画面表示になる
razr ケータイ風のメニュー画面も現れる

 21:9の画面は、もちろん横画面で利用することもできる。画面下の指紋センサー搭載部がグリップとなり、横向きでも持ちやすく、ゲームや動画視聴にも適しているかもしれない。画面を2分割して、2つのアプリを同時に使う「マルチウィンドウ」も使いやすそうだ。

razr 横向きにすると、ゲームや映画をワイドな画面で楽しめる

 折りたたみ時には、小さいディスプレイで通知などの情報を確認できる。「Interactive Quick View Display」と呼ぶそうだが、RAZRに搭載されていたサブディスプレイよりも大きく、視認性が向上したことは言うまでもない。

 RAZRはヒンジ部にカメラを搭載し、サブディスプレイの下にMotorolaのロゴマークがデザインされていた。一方、「razr」はQuick View Displayの下にカメラを搭載。有効画素数は1600万画素で、夜景撮影にも強いカメラとのことだが、閉じたままでも、このカメラでセルフィーが撮れることが利点。さらに500万画素のインカメラもあり、開いた状態でも自撮りができる。

razr これはQuick View Displayにデモ映像が表示されている状態だが、この画像のように、閉じたままでセルフィーを撮ることができる

 フォルダブル端末は、開くと大きな画面を利用できることから「スマホとタブレットの1台2役」というメリットを訴求するモデルが主流だ。しかし、razrはあくまでもスマホで、持ち歩くときにコンパクトにでき、ポケットにも収めやすいことが特徴だ。RAZRがそうであったように、ケースに入れずに、そのまま使うのが理想だろう。片手で持ったときの安定感がいいので、片手で操作することが多い人にも適しているだろう。

 強いて弱点を挙げるとしたら、片手では開閉しにくいことだ。RAZRにも、ワンタッチで開閉できる機能はなかったと記憶しているが、使い慣れると、ディスプレイ部を上に押し上げるような感覚で、サッと開けたと記憶している。razrは折り曲がるディスプレイを搭載していることもあり、耐久性が保証されているとはいえ、手荒な扱いは避けたい。片手で安全にスムーズに開閉できる手段があれば、なおいいと思ったのが本音だ。

 なお、今回Verizonから発売されるrazrは4Gモデルで、5Gには対応していないとのこと。今後、5Gモデルがリリースされることも期待したい。機能うんぬんの話はさておき、純粋にカッコいい! というのがrazrの魅力。日本での発売を期待したい。

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