「Pixel 4」の「モーションセンス」が解禁 タッチレスで操作、顔認証も高速に

» 2020年02月04日 18時00分 公開
[田中聡ITmedia]

 グーグルが2月4日、同社のスマートフォン「Pixel 4」向けに、新機能「モーションセンス」の提供を開始した。同日から順次可能になるソフトウェアアップデートにより、利用可能になる。

Pixel 4、モーションセンス モーションセンスが日本でも利用可能に

 モーションセンスは、端末の周囲の動きを検知する小型のレーダー技術「soli」を活用し、画面に触れずにさまざまな操作ができる機能。海外では発売当初から利用できたが、日本では使用する周波数帯と法令の問題で、導入が先送りになっていた。

 モーションセンスによって、端末に手を近づけて画面を点灯させたり、端末から離れた際に画面をオフにしたりできる。着信した際に手を振ると着信音を消す、アラームや着信音が鳴った際に手を振って音を消す(アラームはスヌーズになる)といった音量の調整も可能。音楽操作にも対応しており、各種アプリで音楽を再生している際に手を振ると、曲送りができる。

Pixel 4、モーションセンス
Pixel 4、モーションセンス 手をかざすだけでアラームや着信の音を止められる

 顔認証もよりスピーディーになる。これまでPixel 4で顔認証を行うには、端末を持って画面を点灯させてから認証を行う必要があった。しかしモーションセンスを活用することで、端末に手を伸ばすだけで画面が点灯するので、より速く認証できる。プロダクト マネージャーのBrandon Barbello氏は「世界最速の顔認証が可能だ」とアピールする。

Pixel 4、モーションセンス プロダクト マネージャーのBrandon Barbello氏

 このモーションセンスに対応した、「ポケモン」が動く壁紙も用意する。ピカチュウやイーブイなど複数のポケモンが登場し、手を振ると反応してくれる。タップすると他のポケモンに切り替えられる。

Pixel 4、モーションセンス モーションセンスに対応したポケモンの壁紙も用意
Pixel 4、モーションセンス 手を振ると、ポケモンが反応してくれる

 モーションセンスを利用するには、設定から「Motion Sense」をオンにする必要があり、対応する機能を個別にオン/オフにすることもできる。soliレーダーはディスプレイの上部に搭載されており、ディスプレイの上に向かって手を振ると認識されやすい。誤動作を防ぐために、連続した速い動作や遅すぎる動作は認識しないように制御しているという。

Pixel 4、モーションセンス 設定からモーションセンスや、対応機能のオンとオフを切り替えられる。モーションセンスで使える機能は、この設定から確認できる
Pixel 4、モーションセンス soliのレーダーはインカメラや顔認証用のドットプロジェクターなどが並ぶ、上部のベゼルに搭載されている
Pixel 4、モーションセンス 音楽再生画面でモーションセンスが使える際、ピクトにその旨を示すアイコンが表示される

 バッテリーの持ちについては、「センサー自体の消費電力が低く、人がいるかどうかを見る際は、さらに低消費電力になる。ジェスチャーコントロールを使うと、消費電力は一段上がるが、それでもローパワーだ」とBarbello氏は話し、大きな違いはないようだ。

 モーションセンスで認識するものは、大きく3つに分けられる。1つ目が「プレゼンス」で、半径0.6m以内に近づいたものを認識する。例えばディスプレイは、端末に手を伸ばしたときにだけ点灯するのではなく、ユーザーが近づいただけでも点灯する。これはsoliレーダーが一方向ではなく全方向を検知しているため。

Pixel 4、モーションセンス 半径0.6m以内に近づいたものを認識する

 2つ目の「リーチ」では、ユーザーが手を近づけると、端末を取り上げようとすることを予測するため、画面の点灯や消音などが可能になる。

 3つ目が、手を振って操作ができる「スワイプジェスチャー」。今のところ、スワイプジェスチャーを使った主な機能は、消音や音楽の曲送りに限られるが、画面のスクロールや写真の切り替えなど、できることの拡張にも期待したい。

Pixel 4、モーションセンス 近づいたものや、ジェスチャー操作も認識する

 Barbello氏によると、soliのプロジェクトは、今から5年前にスタートしたという。当初はエンタープライズ用の機能に注力していたが、現在はユーザーの日常生活に役立つ機能に注力。soliは、非言語的なコミュニケーション手段であり、技術をより人間に近づけるものだと位置付ける。

 「今までなら、端末に音声で話しかける、触ることで(デバイスとのコミュニケーションが)可能だったが、これからは、人の存在を認識する、ボディーランゲージを認識する」手法も有効になると考え、あらゆる動きを検知できるレーダーがベストだと判断した。レーダーなら「mm以下の小さな動きや、部屋にいる人の動き、さらに温度の変化、照明の明るさの変化も検知できる」とBarbello氏。レーダーを搭載したチップの小型化にも成功し、Pixel 4への搭載に至った。

Pixel 4、モーションセンス 当初はレーダーを大きな箱に搭載していた
Pixel 4、モーションセンス だんだんと小型化し、スマホに搭載できるまでのサイズになった

 なお、レーダーが検知したデータは端末上で処理され、処理された後に端末やGoogleのクラウド上に保存されることはないとのこと。

 モーションセンスは、まずスマートフォン(Pixel 4)から搭載されたが、Google社内ではスマートウォッチのダイヤルをジェスチャー操作で動かす実験も行っている。Barbello氏は「今後、モーションセンスを新たな端末に入れていくことも検討している。Pixel 4はあくまでも始まり。soliは技術プラットフォームであり、ハード、ソフト、AIが搭載されているので、さまざまな端末の可能性が考えられる」と話しており、スマホにとどまらない展開が期待される。

Pixel 4、モーションセンス 時計を使ったジェスチャー操作のデモ

Google アシスタントのアップデートも

 2月4日から、Pixel 4で新しいGoogle アシスタントも利用可能になった。Pixel 4のOSとアプリが密接に統合され、端末上とクラウド上で処理をすることで、アプリの起動や設定操作などを、よりスピーディーにこなせるようになる。これは、Google アシスタントへのリクエストを全てクラウド上で処理をするのではなく、一部を端末上で処理し、両方を効率よく組み合わせることで、高速処理を実現しているという。

Pixel 4、モーションセンス Pixel 4で、より高速なGoogle アシスタントが利用可能になった

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