日本交通ホールディングス(HD)とディー・エヌ・エー(DeNA)は2月4日、タクシー配車アプリに関連する事業を4月1日付で統合することに合意したことを発表した。日本交通HDの子会社が運営するアプリ「JapanTaxi(ジャパンタクシー)」と、DeNAが運営するアプリ「MOV(モブ)」の事業を統合することで、タクシー配車サービスを含むMaaS(※)領域における取り組みを加速する。
(※)Mobility as a Service:移動手段を連携させて1つのサービスとみなす考え方
事業統合は、DeNAのMOV事業を「会社分割」で切り出し、日本交通HDの子会社であるJapanTaxiが承継する形態で実施される予定。DeNAはその対価としてJapanTaxiの新規発行株式(20万株)を取得し、日本交通HDと共に筆頭株主となる見通しだ。
MOV事業の統合に伴い、JapanTaxiは社名を変更する予定だが、新社名は現時点において決まっていない。統合後の新会社では、DeNAの中島宏常務(オートモーティブ事業本部長)が社長に、現社長の川鍋一朗氏(日本交通HD社長)が会長に就任する見通しとなっている。
2月4日に行われた本件の説明会において、川鍋氏は「JapanTaxiがMOVを“吸収”するという一部に報道があり残念だ」という趣旨の発言を行った。今回の事業統合はあくまでも「日本のモビリティが“世界一”だと言ってもらう」(川鍋氏)ことを目的としたもので、「あくまでも対等」(同)なものだという。
事実、事業統合後にJapanTaxiとMOVのどちらを“存続アプリ”とするかは決まっていないという。JapanTaxiは全国エリアをカバーし、タクシーの対応台数も多いことが強みで、決済サービス「JapanTaxi Wallet」も擁している。
一方で、MOVはエリア展開を東京、神奈川、京阪神に絞っているが、AI(人工知能)を活用した配車に定評がある。それぞれに強みがあるので、単純に「どちらかに寄せる(統合する)」という判断は難しそうだ。
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