統合の背景には、「タクシー配車アプリ普及率の低さ」(中島氏)や、「タクシードライバーの人手不足」(同)もあるという。
タクシーの月間輸送回数に占める配車アプリの利用率は、競合アプリを足し合わせたとしても「多く見積もって2%程度」だという。
その割に、配車アプリを使っても、対象エリアなはずなのになかなかタクシーを捕まえられないことがある。その理由として、タクシーの総台数の減少や乗務員の高齢化が挙げられる。ただ、乗務員の乗車時間(乗務時間全体)に占める運賃の発生する時間の割合は20〜30%程度。配車効率の面でも労働効率の面でも改善の余地はある。
中島氏によると、「『ライドシェアを(日本でも)解禁すれば良いのでは?』という声があるし、実際に言われることも多い」という。しかし同氏は、ライドシェアの先進地域ではドライバーによる犯罪、環境問題、労働問題などさまざまな問題から「いったん開いた(解禁した)所から再度規制する流れが生まれている」として、ライドシェアを解禁してもタクシーを取り巻く問題は解決しないという立場を取る。
世界的に見て品質の高い日本のタクシーを効率良く使える環境を作り、他の交通手段と組み合わせることでより便利に使えるようにする――それが両サービスの統合により目指す将来像のようだ。
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