MWCが新型肺炎の影響でついに「中止」を決定――果たして、3月のアップル発表会は開催されるのか石川温のスマホ業界新聞

» 2020年02月21日 12時00分 公開
[石川温]
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 毎年、スペイン・バルセロナで開催される世界最大の通信関連イベント「MWC」が中止になってしまった。

 LGエレクトロニクスが早々に参加の辞退を発表したのが2月5日。その後、エリクソン、週が明けて、日本企業からソニーやNTTドコモ、楽天モバイル、さらにノキアなどが相次いで、2月23日に主催者であるGSMAが開催中止を発表した。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年2月15日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 確かに企業として、世界中から人が集まる大きなイベントに出張者を送り込むというのは無理があるだろう。

 しかし、参加を辞退する企業が続出しても、GSMAは開催を強行するかと思っていた。なぜなら、MWCのチケットは一人あたり何十万円もするし、出展料も高額だ。GSMAにとってみれば莫大な収益源であり、開催すれば、収益は確保できる。参加者が勝手にキャンセルしようが、出展者が見送ろうが、勝手に欠席するのであれば、GSMAの懐は傷まない。

 しかし、開催自体が中止となれば、チケット代は返金しなくてはいけないし、出展料収入も見込めなくなる。

 GSMAは意地でも開催するかと思ったら、結局、中止に追い込まれてしまった。

 MWCが中止になったことで、MWCには直接、参加しない企業のプライベートイベントもキャンセルとなった。また、様々な企業を集めて、製品をメディアにアピールするイベントも流れてしまった。

 2月15日午後現在、ファーウェイだけがプライベートイベントの開催をキャンセルしていない状態だ(メディア関係者に「MWCが中止になってもバルセロナには来るか」のアンケートは取られている)。

 今回の新型肺炎騒動は世界的に経済に大きなダメージを与えることだろう。

 もちろん、IT業界にとっても深刻だ。

 日本のメーカーも、製造拠点が中国にあるため、様々な調整に忙殺されている。また、新製品を発表したサムスン電子も、スマホの製造拠点はすでにベトナムがメインだが「部材の多くを中国に頼っており、厳しい状態にある」(サムスン電子関係者)という。

 イベントという観点で見ると、次に動向が注目されるのがアップルだ。

 アップルは例年、3月に新製品発表会を開催している。ただ、今年は2月に中国で新型肺炎騒動が起きたため、新製品がまともに作れていない可能性が極めて高い。

 また、アップルは現在、中国市場を重要なマーケットと位置づけているが、新製品発表会を開催しても、肝心の中国メディアを招待できないという憂き目にあう。

 そうなると、3月に発表会を開催するのか、というか開催できないと思われる。

 今年、MWC前後に5Gスマホが発表、発売され、さらにアップルも3月に新製品、9月には5GiPhoneが発売されると思われるが、中国の今の状態を鑑みると、5Gスマホが安定して供給されるかも危うい。

 今年、5Gスマホが盛り上がりを見せるかと思ったが、中国の状況により、業界全体で大きなダメージを負うことになりそうだ。

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