新型コロナウイルス感染症が、モバイルユーザーにどのような影響を及ぼしているかを週単位で調査したデータも紹介された。
まず測定したのが、スマホがWi-Fiに接続されている時間だ。Wi-Fiは主に家にいるときに使われるので、通常時は週末や祝日に接続時間が長くなる傾向にある。
1月、2月にWi-Fi接続時間が長くなっている国は数カ国。香港やシンガポールは春節の影響だと考えられる。また、韓国とイタリアも比較的長い。3月半ばからは、多くの国でWi-Fi接続時間が長くなっている。つまり、家にいる時間が長くなったと考えられる。ただし、日本にはそのような変化が見られない。
なお、イタリアは比較的早期の段階で、Wi-Fi接続時間に変化が見られていた国の1つだが、データで見ると、政府が移動の自粛、規制をかける前から変化が見られたという。
次に測定したのが、モバイルデータ通信について。Wi-Fi接続時間が長くなってきているので、普通に考えればモバイルネットワークの負荷が減って、通信速度が上がるのではないかと思われる。しかし、実際には4Gネットワークの受信時速度が低下している国が多くなっている。
フォッグ氏はその理由として、多くの国のキャリアが無償でモバイルデータ通信を使えるようにしたことを挙げた。無料になったことで、ユーザーがよりたくさんデータ通信を利用し、ネットワークが混雑して速度が低下したというわけだ。
また、もう1つの理由として、たくさんの人があらゆる場所からモバイルネットワークに接続していることを挙げた。「1日中、昼夜問わず、いろいろな時間帯にビデオを見たり、ゲームをしたりしてモバイルネットワークに接続している。それよってネットワークに負荷がかかった」(フォッグ氏)
ただ、現状は非常に流動的だと同氏は指摘。「状況は刻々と変わっている。週ベースのデータを見るだけで、ここからさまざまなことを予測するのはまだ難しい」とした。
ちなみに、多くの国で通信キャリアは料金を柔軟にして対応しているという。国によっては、一時的に周波数帯域を増やしたり、増強したりしているところもあるそうだ。
Opensignalは、この世界的に危機的な状況が、モバイルユーザーの行動にどういう影響を及ぼすのかを、今後も注視していくという。
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