A13 Bionicの処理能力は、カメラの画質向上にも一役買っている。ベースとなったiPhone 8と比べても、仕上がりはいい。恩恵が大きいのは「スマートHDR」だ。例えば以下に掲載した写真は、同機能のオン/オフそれぞれの状態で撮ったもの。スマートHDRを切ったときは、人物に露出が合った結果、背景が完全に白飛びしてしまっており、何が写っているのかが分からない。それに対し、スマートHDRオンのときは、人物と背景の両方がきちんと描写されている。
シングルカメラながら、ポートレートモードに対応しているのも、A13 Bionicの処理能力を生かした結果だ。第2世代のiPhone SEは、被写体が人物のときのみポートレートモードを利用可能。この仕組みは、同様にシングルカメラのポートレートモードに対応するiPhone XRと同じだ。人物が検出されない場合は、その旨が画面上に表示される。
実際にポートレートモードで撮った写真は、以下の通り。人物と背景の境界がしっかり区別されており、ボケ方のグラデーションも自然だ。機械学習で推定した深度ではあるが、ボケ具合は後から変更することも可能。ポートレートライティングも、iPhone 11シリーズと同じ種類のものが利用できる。
欲を言えば、人物以外でもポートレートモードを使いたかったが、現状では非対応。機械学習を活用した機能のため、人物以外のサンプルを学習させていけば、ある程度被写体を広げることは可能と思われるため、今後のアップデートには期待したいところだ。もう1つ残念なのは、iPhone 11シリーズで初めて搭載された「ナイトモード」が利用できないところ。ナイトモードの有無で、暗所での仕上がりが大きく変わってくるだけに、第2世代のiPhone SEでも対応してほしかったのが本音だ。
細部まで見ていくとやや物足りないところはある一方で、ここまで処理能力が高い端末が、4万4800円(税別)からという価格で販売されるインパクトは大きい。iPhoneはもちろん、他のスマートフォンもハイエンドモデルは10万円を超えるようになった中、その半額以下で最上位モデルと同じようにアプリが動くわけで、コストパフォーマンスは抜群に高い。第2世代のiPhone SEは、価格の高さからハイエンドモデルの買い替えに二の足を踏んでいた人や、初めてスマートフォンを持つ人に、自信を持ってオススメできる1台だと評価できる。
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