―― 楽天モバイルが4月8日(商用サービスの本格開始日)に「Rakuten UN-LIMIT」の(自社エリア外の)月間データ通信容量を5GBに増やしました(参考記事)。そのことについての感想をお聞かせください。
高橋誠社長 (4月8日は)かなり過去のことのようにも思えるのですが、サービス開始当日に(自社エリア外のデータ通信容量を)2GBから5GBに増やしたことは、正直「寝耳に水」でした。
これによって、私たちが提供するローミングネットワークも多く使われることになるので、設備上の対応も必要となります。なので、楽天モバイルには「よく協議しながらやっていかないといけない」と申し上げました。
5GBに増えるということは、競争の観点では警戒しなければならない一方で、ローミング収入という観点ではプラス(増収)につながります。これら両面を、冷静に捉えていく必要があると考えています。
―― 2020年度は、通期で(楽天モバイルからの)ローミング収入が効いてくる(収益に貢献する)ようになると思います。これはKDDIにどのような影響をもたらすのでしょうか。「300万人×5GB」がどのように働くのか、考えをお聞かせください。
(筆者注:「300万人×5GB」は、Rakuten UN-LIMITの契約者のうち300万人が1年間無料で利用できることと、その無料ユーザーにも5GBの楽天モバイルエリア外通信容量が付与されることを指している。全ユーザーが全容量をauエリアで使ったと想定して契約約款をもとに単純計算すると、KDDIには1カ月当たり税別75億円の収入を得られることになる)
高橋社長 先ほどのお答え通りなのですが、楽天モバイルが(商用サービスを)始めてからどのような状況にあるかをというと、おおむね「想定通りの動き」です。急に(エリア外のデータ容量を)5GBにしたからといって、慌てて何らかの対応しなければならないという状況にはないと思っています。
今までも、(KDDIの)MNOサービスから楽天モバイルのMVNOサービスへと移動することはありましたが、それと同等の規模で(楽天モバイルの)MNOサービスに移動するようになった、というイメージです。ローミング収入についてもほぼ想定通りになっていると思います。
楽天モバイル(のMNOサービス)に移動されると、その分のローミング収入が立つ、という構造ではあるのですが「それはそれ、これはこれ」です。楽天モバイルは新しいコンペティター(競争相手)ですので、できるだけシェアを奪われないようにしつつ、楽天モバイルのMVNOサービス利用者に私たち(auやグループMVNO)のサービスに来てもらえるように取り組みます。
今回、UQ mobileとのダブルブランド化の準備も進めていますが、しっかり楽天モバイルには対抗していきたいと考えています。
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