インタビュー
» 2020年05月19日 06時00分 公開

外出自粛で聴取者は増えた? 「ラジスマ」の手応えはどう? radiko青木社長に聞く (1/2)

試験サービスの開始から10年経過したIPサイマルラジオ「radiko(ラジコ)」。災害時はもちろん、最近の「外出自粛」の際によく使われているという。サービスの近況を、運営会社であるradikoの青木貴博社長に聞いた。

[井上翔,ITmedia]

 インターネット経由でラジオ放送をサイマル(同時)ストリーミングする「radiko(ラジコ)」の商用サービスが始まってから、まもなく10年が経過する。関東や関西のラジオ局13局(全国放送の「ラジオ日経」を含む)から始まった聴取対象局は、現在では北海道から沖縄まで合わせて113局まで拡大した(NHKを含む)。

 サービス面でも、1週間以内の番組を後から無料で聴ける「タイムフリー」、所在エリア外のラジオ局の番組を聴ける月額350円(税別)の有料サービス「radikoプレミアム」(エリアフリー)と順次拡充。2019年3月には「ラジスマ」にradikoとFMラジオの双方を聴取できるアプリ「radiko+FM」をプリインストールする取り組みも始まった。

 ITmedia Mobileは4月中旬、radikoの青木貴博社長へのリモートインタビューを実施。サービスの近況から「新型コロナウイルス」の影響まで、いろいろな話を伺った。

アプリ スマートフォン向けの「radiko」アプリ
青木社長 インタビューに応じるradikoの青木貴博社長(写真提供:radiko)

「新型コロナ」の影響で急増した聴取者

―― まず、サービスとしての「radiko」について、改めて教えてください。

青木社長 スマートフォンやタブレット、PCでラジオ受信機が手元になくても気軽に地上波ラジオ放送を聴取できるサービスです。2010年3月15日から「実証実験」を開始して、同年12月1日から正式サービスに移行しました。

 今年(2020年)3月で実証実験から10年、12月で正式サービス開始から10年を迎えます。

iOS版アプリ 2010年5月にリリースされたiOSアプリ。この後、同年7月下旬にAndroidアプリもリリースされた

―― radikoを介してラジオを聴取する人は増えているのでしょうか。特に、ここ最近は新型コロナウイルスの影響で「巣ごもりBGM」としてラジオを聴こう、という人も増えていると思いますが……。

青木社長 新型コロナウイルスの影響で格段に増えた、という面は確かにあります。2月のMAU(月間アクティブユーザー数)は約750万でしたが、先般集計した所、3月は910万と、1カ月で160万件増えています。

 在宅勤務などで家にこもることが増える中、ラジオに気分転換の役割を求められたのだと思います。

―― かなりの伸びですね。そうなると、昼間時の聴取が増えているイメージでしょうか。それとも、夜間も増えているのでしょうか。

青木社長 とりわけ日中の聴取が増えています。これまで、朝の通勤・通勤時間帯(午前8時付近)が(1日で)一番聴取の多い時間帯でした。

 (新型コロナウイルスの影響で)その辺の聴取は少しだけ減りましたが、仕事の息抜きなど「すきま時間」での聴取が増えた結果、全体的なMAUが増加したのだと思います。

―― MAUの増加について、これは全国的に同じ傾向なのでしょうか。特定の地域が増えているということはないんでしょうか。

青木社長 東京、大阪、名古屋(愛知県)など、(「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づく)緊急事態宣言が発出された7都府県で特に増えました。(筆者注:取材日時点では、緊急事態宣言は埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、兵庫県、福岡県を対象としていた)

―― 基本的に全時間帯で聴取が増えているということですが、ニュースなどの聴取も増えているんでしょうか。

青木社長 細かい番組レベルで調べているわけではありませんが、そうだと思います。

―― 聴取者数が増えても、配信設備は大丈夫なのでしょうか。

青木社長 大丈夫です。ユーザーの皆さまに迷惑の掛からないように整備しています。災害が発生するとアクセスが一気に集中することもありますから、そのような状況への備えは欠かしていません。

radikoと災害

―― 昨今の新型コロナウイルスは少し異質ですが、日本は自然災害など「緊急事態」が起こりやすい環境にあります。自然災害の際に、「radiko」はどのように役立つのでしょうか。

青木社長 去年(2019年)8月に公表した、2018年9月6日の「北海道胆振東部地震」発生当時の利用データ(PDF形式)を見れば分かりやすいと思います。この地震は夜中に発生したものですが、北海道内では(radikoでの)聴取人口が約7倍になりましたし、北海道外の人もエリアフリーを使って北海道内の状況把握に努める動きが見受けられました。

 災害時でもradikoがお役に立てたという実感はあります。

―― 去年といえば、台風17号や台風19号も広い範囲で被害をもたらしました。両台風についても、それに前後する形で聴取が増えたのでしょうか。

青木社長 北海道胆振東部地震のように詳細なデータをまとめているわけではありませんが、(台風17号や台風19号を含む)災害が発生した際は、radikoの聴取数が上昇するという動きはしっかりと確認できています。

資料 2018年9月6日の深夜に発生した北海道胆振東部地震では、発生直後から北海道内のライブ聴取が急増した他、北海道外からのエリアフリー聴取も増えた(出典:radiko)

―― 災害に備えて、radikoとして特別に取り組んでいることはあるでしょうか。

青木社長 先ほど触れた設備面の整備はもちろんですが、今年の3月9日に防災ファクトブックを作成しました。3月11日に合わせて災害に備える意識を高め、「災害時にもradikoを活用しよう」ということで第三者にも意見を伺いつつまとめたものです。

 映像(配信)と比べれば通信量も少なくバッテリーも持ちますし、手元にあるスマホを使った情報収集手段の1つとして(radikoを)活用していただければ、と思っています。

ファクトブック radikoが3月9日に公開した「防災ラジコ ファクトブック」。PDF形式で無料でダウンロードできる
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