世界を変える5G

HuaweiとXiaomiが“激安5Gスマホ”で一騎打ちの中国 2万円台のモデルも登場山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)

» 2020年06月10日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]
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コスパモデルの本家Xiaomiは“史上最安5Gスマホ”を投入

 Huaweiのこの動きにいち早く反応しているのが「元祖・コスパスマホメーカー」のXiaomiだ。Honor X10と同じ5月26日に新モデル「Redmi 10X」シリーズを発表。上位モデルの「Redmi 10X Pro」こそクアッドカメラ付きで2299元(約3万5000円)と2000元を超えるが、ベーシックモデルのRedmi 10Xは1599元(約2万4000円)と5Gスマートフォンの最安値の記録を更新した。

 Redmi 10XのスペックはプロセッサがDimensity 800、6.57型(1800×2400ピクセル)ディスプレイに4800万画素+800万画素+200万画素カメラ、インカメラは1600万画素となる。1599元の最低スペックモデルはメモリ6GB+ストレージ64GBという構成だ。他社の4Gスマートフォンの中には同等スペックでより高価格なモデルもあり、5Gで1599元のRedmi 10Xの存在は中国市場全体の4Gモデルの存在意義をあやふやなものにしてしまうだろう。

Redmi 10X 5G 1599元で登場するRedmi 10X 5G。もはや4Gスマホは無用になるか

 5Gスマートフォンの低価格化競争に火をつけたのはXiaomiで、2019年12月にSnapdragon 765Gを搭載、1999元(約3万円)の「Redmi K30 5G」を発表した。その後上位モデルとしてSnapdragon 865搭載モデル「Redmi K30 Pro」を2999元(約4万5000円)で投入し、より高性能な5Gスマートフォンを求める消費者の声に応えている。

 一方、5月頭には世界初のSnapdragon 768Gを搭載した「Redmi K30 5G 極速版(Speed Edition)」を発表。スペックはK30 5Gと同等で、6.67型(1800×2400ピクセル)ディスプレイ、6400万画素を含むクアッドカメラ、フロントは200万画素+200万画素のデュアルカメラとなる。価格はメモリ6GB+ストレージ128GBモデルが1899元(約2万9000円)。K30は6GB+64GBで1999元だったので、ストレージ容量を増やしながらも100元下げた。

Redmi K30 5G 極速版 世界初のSnapdragon 768G搭載モデルも価格を重視

 さらにK30 5Gの最上位カメラを4800万画素に抑えた「Redmi K30i 5G」も5月に発表。こちらもメモリ6GB+ストレージ128GBで1899元だ。Huaweiが低価格化攻勢をかける中、Xiaomiはそれを真っ向から受け、次々と製品を送り出している。中国国内でブランド力も高いHuaweiが、格安5Gスマートフォンのラインアップも拡充させていくと、Xiaomiの「高性能で低価格」というイメージが崩れてしまう。Xiaomiとしては価格の競争では負けたくないという思いが強いだろう。

 日本でも発売になるXiaomiのメインライン「Mi」シリーズの低価格5Gスマートフォン「MI 10 Lite 5G」のカメラを強化した「Mi 10 青春版 5G」(海外では「Mi 10 Lite Zoom 5G」として発売されるとウワサされている)も4月に中国で発売した。2099元(約3万2000円)と2000元はわずかに上回るものの、HuaweiのPシリーズ上位モデルが搭載する、光学5倍望遠のペリスコープカメラを搭載。最大50倍ズームに対応するスマートフォンとしては破格値だ。

Mi 10 Lite Zoom 5G 50倍ズームで3万2000円、高性能カメラでこの価格も驚異的だ

 MediaTekに続き、Samsungや中国のUNIプロセッサも低価格な5G プロセッサを投入する。そして5Gスマートフォンの低価格化はこれからさらに拍車が掛かるだろう。先進国でも各通信事業者は5Gへの投資を早期に回収するためにも、既存の4Gユーザーの5Gへのアップグレードは急務だ。低価格5Gスマートフォンの需要が高まるにつれ、中国メーカーの市場での存在感はいまよりさらに高まっていくだろう。

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