世界を変える5G

「5Gユーザー2億人の獲得競争」 中国メーカーが5Gスマホを積極的に投入する理由山根康宏の中国携帯最新事情(1/2 ページ)

» 2020年04月14日 06時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

 中国メーカーのスマートフォン新製品が毎月のように登場している。中でも5G対応製品が急増している。2020年になってから中国メーカーが発表した5Gスマートフォンの数は20を超えており、毎週1機種以上が登場している計算になる。各社のWebサイトでもトップを飾るのは5G端末だ。

HUAWEI P40 Pro 中国メーカー最新の5Gスマートフォン「HUAWEI P40 Pro」

 中国で販売されている5Gスマートフォンはハイエンドモデルだけにとどまらず、日本円で5万円を切る低価格モデルも出てきている。OPPOはReno 3シリーズの下位モデルに「Reno 3 Youth」を2999元(約4万6000円)でリリースした。また一方で、大手メーカーのサブブランドやコスパ重視のメーカーからも5Gスマートフォンが出てきている。Xiaomiの「RedMi」、OPPOから独立した「Realme」は、今ではインドや東南アジアで人気のブランド、メーカーだが、それぞれが5Gスマートフォンを出している。

HUAWEI P40 Pro Realmeからも5Gスマートフォンが登場

 中国以外のメーカーで現在、5Gスマートフォンを投入しているのはSamsungやLGなど数社のみ。ソニーとシャープのように1モデルしか出していないメーカーもある。それに対して中国各メーカーは既に1社で数機種以上の5Gスマートフォンを出している。ではなぜ中国メーカーは5Gスマートフォンシフトを急激に進めているのだろうか? それは中国の5G市場が爆発的な伸びを示しているからだ。

中国の5Gサービス加入者数は世界最大に

 2019年11月1日に開始された中国の5Gサービスは、大都市のみならず中堅都市もエリア化し、繁華街のみならず広い範囲を当初からカバーしていた。地下鉄や建物内などまだ利用できない場所は多いものの、屋外で人が集まるような場所なら、ほとんどの場所で5Gが利用できるほど整備されていた。2020年3月末に始まった日本の5Gがかなり限られた場所でしか使えないことと比べると、中国の5Gの利用エリアは当初からかなり広い。

HUAWEI P40 Pro 北京の新空港も5Gエリアになっている

 当初は最低基本料金が100元台(China Mobileが月額128元《約1970円》、China TelecomとChina Unicomが月額129元《約1990円》)と4Gの最低料金よりも割高な価格でサービスが始まったが、開始早々にChina Mobileは月額89元(約1370円)の低利用プランを提供。2020年に入るとChina Unicomは月額29元からの超低料金プランも開始しており、4Gから5Gへの乗り換えも一気に進んでいる。

HUAWEI P40 Pro 2019年12月にChina Mobileの店舗に掲げられていた料金表。89元のプランができていた

 その結果、中国の5Gサービス加入者数はあっという間に韓国を抜き世界最大となった。China Mobileは2020年2月末で5G加入者数は1540万人、China Telecomは1073万人に達している。ちなみにChina Mobileは2月単月だけで866万増と、それまで3カ月の合計数を超えるほど新規数を獲得している。一方、China Unicomは5Gサービス開始後からいまだ5G加入者数を発表していないが、これは2社に大きく後れを取っているからと考えられる。3社合計の5G加入者数はChina Unicomが数百万と仮定すると、現時点で3000万前後になると思われる。

 中国メディアの報道によると、2020年末には各社の5G加入者数は、China Mobileが7000万、China Telecomが6000万から8000万、China Unicomが5000万に到達すると予想している。これまで総加入者数で圧倒的な強さを見せていたChina Mobileに対し、5Gだけで見ればChina Telecomがその数を抜き去る可能性もある点は興味深い。そしてこの3社の予測値を合計するとその数は2億に達する。少なく見積もったとしても、2020年末で中国の5G利用者は日本の人口を超える数になるのだ。

HUAWEI P40 Pro 2020年末には5Gユーザーは2億に達する見込み。China Telecomがトップに立つ可能性もある

低価格スマホで「5G」に目を向けさせる

 中国メーカーが相次いで5Gスマートフォンを投入するのも、この5G加入者の急増に対応するためだ。既に中国のスマートフォン市場は成長期から成熟期を迎えており、スマートフォンの出荷台数は中国工業情報化部の調査を見ると、2017年第2四半期以降、前年同期比でマイナスとなっている。前述したデータをもとに計算すると、2020年3月から12月までに5G加入者数が1億7000万増えると予想される。キャリアは店舗で5Gを大々的にアピールしており、消費者の目も5Gに完全に向いている。2億台弱のパイの中で主権を取ることは、出荷台数を伸ばすだけではなく「最先端技術に対応したメーカー」というイメージを消費者に植え付けることができる。

HUAWEI P40 Pro 各社は5Gスマートフォンを次々と投入、Vivoは既に8機種を出している

 Xiaomiが「RedMi K30 5G」を1999元(約3万円)、Vivoが「Z6」を2299元(約3万5000円)と「格安5Gスマホ」を投入しているのも、消費者の目をとにかく5Gに向かせるためだ。これら低価格な5Gスマートフォンは、より高価格な4Gスマートフォンより機能は落ちる。それでも手ごろな価格の5Gスマートフォンを用意すれば、消費者は5Gに親しみを持ち、より上位の高価格な5G端末にも目を向けてくれるだろう。

HUAWEI P40 Pro 早くも「1000元5Gスマホ」を実現した「RedMi K30 5G」
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月11日 更新
  1. 楽天の三木谷氏がStarlinkに言及――「正直に言って……」 AST SpaceMobileは過疎地域や海上で効果発揮か (2026年08月10日)
  2. LINEの「ミュートメッセージ」有料化へ 相手のスマホを鳴らさずに送れる便利機能 (2026年08月10日)
  3. KDDIからの独り立ちを目指す楽天モバイル、ローミング交渉の現在地――両社の考えを整理 (2026年08月10日)
  4. 【ワークマン】1900円の「アーバンマルチストレージショルダー」 大きく開く小分けポケット搭載 (2026年08月10日)
  5. ソニーに聞く「Xperia 1 VIII」の裏側 デザイン刷新や20万円超えの理由、物議を醸したAIカメラ新機能の真相 (2026年08月10日)
  6. ハイエンドスマホ「arrows Alpha」、IIJで半額以下の3万円台に 11月4日21時59分まで【スマホお得情報】 (2026年08月10日)
  7. NHK受信料パトカー・消防車から徴収問題、猛反発を受け「検討を進めていく」と会長 (2026年08月07日)
  8. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  9. 楽天モバイルのローミングは「予定通り9月末に終了」 ただし「ルーラル限定で継続」の可能性も (2026年08月07日)
  10. 楽天モバイルの「営業損失」と「解約率」は改善を継続――楽天グループが2026年度第2四半期決算を発表 (2026年08月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー