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» 2020年06月19日 20時54分 公開

「接触確認アプリ」の課題 プライバシーは守られるが、利用促進にハードルあり (2/3)

[房野麻子,ITmedia]

「私」にメリットのあるアプリ

 クロサカ氏は、導入のインセンティブを与えるためにも、接触確認アプリを使うメリットを理解してもらうことが重要だという。

 アプリを導入することで、自分や自分の周囲の人、引いては地域、社会のメリットになると考えられるが、接触確認アプリの有識者検討会合委員でもある世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター へルスケア・データ政策プロジェクト長の藤田卓仙氏と、慶應義塾大学 法科大学院 法務研究科教授の山本龍彦氏の2氏は、「基本的には自分にメリットがあるアプリ」だと語った。

 「自分の行動がどう変わったかを把握し、今後行動を変えていくことを中心に考えているアプリ」(藤田氏)

接触確認アプリ 世界経済フォーラム第四次産業革命日本センター へルスケア・データ政策プロジェクト長の藤田卓仙氏

 「今回のアプリについては、通知を受けて自分で自主的な隔離をしたり、積極的に検査に行ったりというように、自分の行動を変容させていくことが中心的な目的になると思う」(山本氏)

接触確認アプリ 慶應義塾大学 法科大学院 法務研究科教授の山本龍彦氏

 なお山本氏は、「公衆衛生という言葉はマジックワード化してしまうところがある。広い概念なので、この概念を使って議論することは難しい」とも指摘している。

 日本では、個人を第一に考えることが当たり前という認識だが、世界では必ずしもそうではない。例えば中国は今回の感染拡大で厳しい外出制限を課し、「まさしく公衆とは中国であるという状態」(クロサカ氏)になった。強制力の強い方が効果的という議論もあるが、「効けば何でもいいのか。やはりバランス感覚が求められる」(クロサカ氏)

国民の6〜7割が利用する必要がある

 接触確認アプリは、国民の6〜7割が利用すると、感染拡大を防げるとされている。スマホの普及率を考えると、非常に高いハードルだ。例えば、シンガポールでは似たような「TraceTogether(トレース・トゥギャザー)」というアプリが導入されているが、「直近で3割強くらいのインストールに止まっている」(クロサカ氏)という。

 アプリの効果に疑問を感じてしまうが、藤田氏によると、厚生労働省は今回のアプリを「個人が行動を変えることで、感染のリスクを下げたり、実際に接触した人に適切な行動を取ったりするように誘導する」ことを目的に開発したと強調する。

 山本氏も、「かなり注意深く、このアプリの性格を限定した。疫学や陽性者監視のためにアプリが使われるんじゃないかと思われるかもしれないが、あくまでも行動変容を促すためと目的を明確にしている。それによって国民の不安を除去していくという方向性で議論が進んでいった」と有識者会議の流れを振り返った。

 なお、この討論会の視聴者からは、やはりアプリ導入の強いインセンティブが必要だとの意見が出ていた。落合氏は優先的にPCR検査を受けられるようにするなど、具体的なメリットを伴うことが大事だとしている。

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