自撮り被害を防ぐカメラの反響、トーンモバイルがフリービット傘下に戻った理由は? 石田社長に聞くMVNOに聞く(3/3 ページ)

» 2020年06月22日 11時29分 公開
[石野純也ITmedia]
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フリービット傘下に戻った理由は?

―― 事業移管でフリービット傘下に戻ったことになりますが、理由があまり語られていません。この点を教えていただけないでしょうか。

石田氏 CCCの店舗戦略が大きいですね。もともと考えていたシナジーが、お互いに発揮できない状態にありました。テクノロジー的な進化に対しては、フリービット本体との方がシナジーが高い。店舗も、99%はカメラのキタムラに移りました。ただし、キタムラもCCCの子会社なので、関係が悪くなったわけではありません。セルフ型のTSUTAYAよりも、接客型のキタムラの方がトーンモバイルとの親和性が高く、非常にいい関係です。フランチャイズとの調整も一切いらないので、本部が決めたら全部決まるのもプラスになっています。

―― 逆にTSUTAYAの場合、そこに時間がかかっていたということでしょうか。

石田氏 本部が希望しても、やはり加盟店が重要なので、説得が2回、3回になっています。客層も店舗によって異なるので、柏の葉のような場所は親和性が高かったのですが、それ以外にもいろいろな場所があります。そこに合わせてマーケティングを細分化できないところもありました。

 今は、指名買いでキタムラに来ていただけています。これからの展開を考えると、やはり店舗の存在は大きい。トーンモバイルはリモートサポートの仕組みも持っていますが、その辺にも柔軟に対応していただけました。

―― それは、どういったサポートなのでしょうか。

石田氏 テレビ会議をやりながら、契約や端末の設定が全部できるというものです。freebit mobileでは、混雑緩和のためにかなり活用していましたが、TSUTAYAでは使わない方針になっていました。

―― そういえば、freebit mobileの店舗にありましたね。DTIの事業になったことで、戦略の変化も大きかったと思いますが、いかがでしょうか。

石田氏 DTIとトーンモバイルはかなり統合していきます。固定網やモバイルなど、いろいろとありますが、それらを統合して新しい価値観を作っていきたいですね。トーンモバイルが作り出した安心安全には、アフターコロナの時代にもいろいろと役立つエッセンスが詰まっています。Stay Homeになったときの固定網とモバイルの使い分けなどを考えても、横断的にできることは非常に重要です。そこに向かって、今は一直線に準備を進めています。

―― 電気通信事業法改正や、分離プランの登場、サブブランドの拡大、楽天モバイルの新規参入などで、MVNOがかなり苦戦しているように見えます。トーンモバイルには、その影響はどう出ていますか。

石田氏 まずサブブランドや楽天モバイルの影響は、ほぼゼロです。最初に全方向ではやらないと決めていたので、マーケットの中での影響もありません。FREETEL(プラスワン・マーケティング運営時のFREETEL)が拡販をかなりされていたときに、もともとのところから販売台数が落ち、民事再生に入った際にはレピュテーションリスクもありましたが、それ以降は特に変化はありません。

取材を終えて:新サービス開発の加速に期待

 トーンモバイルには「スマホあんしんラボ」があり、行政や自治体、学校との接点になっているが、こうした活動で集まった情報が、端末開発のヒントとして生かされているようだ。TONE e20が話題になったのも、社会問題をタイムリーに捉え、その解決策を提示したからといえる。ターゲットを絞って独自性を強く出しているため、市場環境の変化による影響も受けづらいことが伺えた。

 CCCグループのときは、思ったように店舗展開が進まなかったようだが、DTIに事業移管後は順調に拡大できているという。子どもや高齢者に特化したトーンモバイルと、映像・音楽のレンタルや書籍販売を手掛けるTSUTAYAでは、ブランドイメージがあまり合致していなかった印象もある。フリービット傘下になり、新サービスの開発が加速することも期待できそうだ。

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