働き方改革と新型コロナウイルスの感染予防策の両輪から、テレワーク(遠隔勤務)が急速に普及している。それに伴い、Web会議ツールやビデオ通話を利用する頻度は確実に上がった。
Web会議やビデオ通話をする際には、Webカメラを備えるノートPCを使う機会も多い。しかし、Webカメラの位置の関係から、顔を下から見上げるような構図になってしまいがちで、画質は十分でも映像としての印象はイマイチ、ということも少なくない。
設置位置を変えやすい外付けのWebカメラを使えば、映りの良い位置にセットできて、印象も改善する……が、“テレワーク特需”も手伝って、一部で品薄が続いている。
PCを使ったWeb会議やビデオ会議で、もっと映りの良いWebカメラを使いたいが、すぐに用意できそうにない――そんな時に検討してほしいのが、スマートフォンのカメラをPC用のWebカメラとして使う方法だ。
この記事では、スマホをWebカメラ化するツールとして、Windowsで使える「iVCam」(e2eSoft製)と、WindowsとmacOS(Mac)で使える「Iriun Webcam」(Iriun製)の2つを紹介する。参考になれば幸いだ。
各ツールの利用について、筆者および編集部は責任を負いません。自己責任のもとご利用ください。
スマホをWebカメラとして使うまでの流れは、iVCamとIriun Webcamでおおむね共通だ。簡単に手順をまとめると以下の通りとなる。
セットアップが問題なく行われれば、スマホのカメラがWindowsやmacOS上で「カメラデバイス」として認識され、Web会議/ビデオ会議アプリから利用できるようになる。アプリが使うカメラデバイスを切り替えれば、スマホカメラの映像を送り出せるようになる。
まず、Windowsで使える「iVCam」の使用手順を確認していこう。
スマホでは、アプリストアから「iVCam コンピュータカメラ」という名前のアプリをインストールする。
アプリの初回起動時には、カメラと内蔵マイクにアクセスする権限を求められるので、それぞれ許可しておこう。
アプリを検索し、インストールしておく。アプリが起動したら、カメラやマイクへのアクセス権限を許可する。
続いて、Windows PC側でクライアントアプリを公式Webサイトからダウンロードしてインストールする。表示される手順に従って行えば問題はない。インストーラーやアプリは日本語表示に対応しているので、戸惑うこともないだろう。
スマホとPCでアプリを立ち上げると、同じネットワークに接続されていれば自動的に接続される。
ただし、PC側では、初回通信時にファイアウォール(通信を監視する機能)が通信を許可するか否か尋ねてくることがある。ここで通信を許可しないと、Webカメラ(=スマホ)と通信できないので注意しよう。
スマホとPCが接続状態になると、クライアントアプリ側から「露出」や「ISO感度」などを調整できる。接続先のカメラがAF(オートフォーカス)やAE(自動露出調整)に対応している場合は、その有効/無効も切り替えられる。会議の開始前に、自分の映りが“バッチリ”になるようにうまく調整しておこう。
設定が完了したら、Web会議/ビデオ会議アプリで使ってみよう。今回は試しに、iVCamでWindows PCに接続したiPhoneを三脚に固定し、「Microsoft Teams」での通話に用いてみた。
Teamsで使うカメラを切り替えるには、アカウントアイコンのメニューにある「設定」から「デバイス」を選択する。その中の「カメラ」の項目で「e2esoft iVCam」を選択すれば準備はOKだ。
Teamsの場合、通話途中でもカメラの切り替えができる。この場合は、通話画面のメニューから「デバイスの設定を表示する」を選択し、上記と同様の操作を行えば良い。
正直にいうと、精細感という観点ではiVCamの映像は大半のPC内蔵カメラとさほど差はない。しかし、三脚を活用することでユーザーの目線と同じ位置にカメラを設置できるという点はメリットといえる。
筆者の環境では机に奥行きがないため、PCに向いながら使うと少し斜めからのアングルになってしまったが、この点は使い手の工夫次第で何とかできる。三脚がない場合でも、市販の「スマホホルダー」や「スマホアーム」といった道具を活用すれば、同じ効果を得られるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.