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メルカリの売上金が送金可能に メッセージカードで“気持ち”を伝える工夫も

» 2020年07月13日 16時50分 公開
[小山安博ITmedia]

 メルカリとメルペイは7月13日、メルカリの売上金などを他のユーザーに送金する「おくる・もらう」機能の提供を開始した。これまで、メルカリの売上金はメルカリ内で利用する他、メルペイの支払いにも使えたが、新たに送金機能を開発。同社は「ユーザーのニーズに応えた」としている。

メルカリ メルカリとメルペイによる送金機能「おくる・もらう」がスタート。写真は「おくる・もらう」開発リーダーの中村奎太氏

 フリマアプリのメルカリは、2019年の年間流通総額が4902億円、月間利用者数は2020年6月に1650万人を超えた。従来は若年層の女性によるファッションカテゴリーの利用が多かったというが、ここ最近は書籍やゲームなどのエンターテインメントジャンルの利用も増え、幅広い層に利用されているという。

メルカリ メルカリの利用動向。幅広いジャンル、利用者層に支えられている
メルカリ メルカリとメルペイの現状

 そのメルカリが開始した決済サービスのメルペイは、利用者数が600万人を突破し、決済可能加盟店も170万カ所を超えて利用者が拡大。メルカリの売上金をリアル店舗でも利用できることが最大の特徴となっている。6月にはNTTドコモのdポイントとアカウント連携。9月からはd払いとのコード連携も開始するため、国内最大規模の顧客基盤を持つ決済サービスになる。

 そうした中で、メルカリ・メルペイユーザーからは「メルカリの売上金を身近な人に送りたい」という要望が40%に達したという。そうしたニーズに応える形で提供されるのがおくる・もらう機能だ。

メルカリ メルカリのアンケート調査では、送金機能へのニーズが4割に達し、身近な人へ送金したいニーズが高かった

 おくる・もらう機能では、メルカリの売上金、銀行口座からの入金といったメルペイ残高や有償ポイントを、他のメルカリユーザーに送金できる。受信者はメルカリユーザーである必要はないが、受け取って利用するためにはメルカリとメルペイの利用登録をする必要がある。

 ユーザーアンケートから、65%が「家族・親族」、28%が「友人・知人」に送金したいというニーズが浮かび上がったため、送金時にメッセージカードの画面を選んでメッセージを入力できるようにするといった工夫を盛り込んだ。

 送金する際には、メルカリアカウントとは異なるメルペイ表示名を設定。送金金額とメッセージを入力してカードデザインを選択。リンクが生成されるので、そのリンクをSNSやメールなどで送りたい相手に送信する。受信者側が送金を承認すると、送金者側に通知が来て、さらに送金者が承認すると入金が完了する仕組み。

メルカリ 送金をするには、メルカリアプリ内のメルペイからアイコンをタップ
メルカリ 任意のメルペイ表示名を設定し、「友だちにおくる」を選択
メルカリメルカリ 金額を設定し、メッセージを入力したらカードデザインを選択する
メルカリメルカリ リンクが作成されるので、任意の方法でリンクを相手に送信する(写真=左)。受信者側は送信されたリンクをタップするとメルカリアプリが起動し、「受け取る」ボタンで受信確認が送信される(写真=右)
メルカリメルカリ 送信者側には受信確認が送られるので、「承認する」を押すと送金完了し、相手には入金が行われる

 メッセージカードは24種類のイラストやメッセージが組み込まれたもので、文章のメッセージを追加することで、相手に対して「感謝やねぎらいの気持ちを伝えられる」と同社は狙いを話す。

 メッセージのデザインは24種類。今後、暑中見舞いなどの季節性のあるメッセージデザインなどを追加していく予定だという。

メルカリ
メルカリ 当初は24種類のカードデザインを用意。今後、シーズンごとのカードなどを追加していく

 メルカリとは異なる表示名を設定できる点や、送受信者双方で承認をする点、さらにマネーロンダリングや不正取引対策として、アカウント乗っ取りや不正取引、架空取引などの対策を強化したことで、安心して送金できる環境作りも目指したという。

 送金できる金額は、残高の場合は1回10万円、1日10万円まで。有償ポイントの場合は1回5000ポイント、1カ月5000ポイントまで。残高の送金ができるのは本人確認を実施したユーザーだけなので10万円まで送れるが、本人確認していない場合はポイントの送金しかできない。また、マイナポイント事業など、キャンペーンで付与された無償ポイントは送金の対象外だ。

 おくる・もらう機能は、一般的な送金サービスのように割り勘などの支払いといった使い方もできるが、同社ではユーザーニーズを踏まえて、「気持ちを乗せてメッセージとともに贈り合う」という使い方を想定。他社の送金機能との差別化としても位置付ける。

メルカリ 実際のアプリ画面

 送金機能は、他社決済サービスでは比較的一般的だが、メルペイにはそうした機能が搭載されていなかった。しかし同社はこうしたニーズはここ最近になって顕在化してきた、としており、さらに単に送金したいのではなく、気持ちを込めたものを送りたいというニーズが多かったことから、おくる・もらう機能を開発した、としている。

 今後、カードの追加だけでなく、さらなる機能拡充やキャンペーンの展開も想定しているという。

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