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» 2020年02月04日 21時25分 公開

「統合ではなく利便性の向上」 ドコモ×メルカリ/メルペイの提携で目指すもの

メルカリ、メルペイ、NTTドコモが業務提携を発表。2020年5月までにdアカウントとメルカリIDを連携させ、残高やポイントを相互に使えるようになる。両社の加盟店も共通化し、営業活動も共同で行っていく。ただしサービス自体を統合する予定はないという。

[田中聡,ITmedia]

 メルカリ、メルペイ、NTTドコモが業務提携を発表。2020年5月までにdアカウントとメルカリIDを連携させ、残高やポイントを相互に使えるようになる。また両社の加盟店も共通化し、営業活動も共同で行っていく。

 3社の業務提携はどのような背景で実現したのか。2月4日に記者説明会を開き、メルカリの山田進太郎CEOとドコモの吉澤和弘社長が語った。

ドコモ、メルカリ メルカリの山田進太郎CEO(左)とNTTドコモの吉澤和弘社長(右)
ドコモ、メルカリ ポイントや決済関連で提携する

 メルカリとドコモは、2015年4月にメルカリのキャリア決済で提携。2019年4月には、メルカリで売れた物の梱包(こんぽう)と発送ができる「つつメルすぽっと」を一部のドコモショップに設置したり、10月には「メルカリ教室」を共同開催したりといった形で連携してきた。今回の業務提携でこうした取り組みを拡大することに加え、両社のIDを連携させることで、キャッシュレスの推進を図っていく。

ドコモ、メルカリ ドコモとメルカリのこれまでの取り組み

 メルカリは1450万人の月間利用者を、ドコモは7345万のdポイント会員を抱える。これらの会員を掛け合わせることで、山田氏は「国内最大規模のアクティユーザーを持つアライアンスを実現できる」と自信を見せる。また、メルカリとメルペイの年間流通総額は約5000億円、dポイントの年間利用は約2000億ポイントで、これらを合わせると、約7000億円規模に及ぶ。山田氏は「両社のサービスを通して、あらゆる決済に利用されるようになる」と意気込みを語った。

ドコモ、メルカリ 国内最大規模のアクティブユーザーに達するとアピールする
ドコモ、メルカリ 年間7000億円規模の流通になる
ドコモ、メルカリ 提携の取り組みまとめ

 メルペイとドコモは、加盟店の相互開放を目的とした「Mobile Payment Alliance(MoPA)」にかつて参画していた(参考記事)。しかし参画企業の1社だったLINE Payのサービス方針転換を理由として、2019年12月に活動を終了(参考記事)。業務提携は解消することになった。しかしメルペイとドコモが新たに提携を結ぶことで、決済領域におけるパートナーシップが復活した。こうしたパートナーシップについて、メルペイとドコモの両社は「あらゆる事業者とオープンに提携していきたい」とのスタンスで、吉澤氏も「もっとたくさんのパートナーに入っていただく活動を続けていきたい」と話す。

 なお、メルペイはKDDIの「au PAY」とも加盟店の相互開拓を進めているが、KDDIとの「既存の提携は維持していく」(メルカリ 執行役員VIP of Business Operationの野辺一也氏)という。加盟店の相互開拓は、ドコモとKDDIとは個別に進めていき、間接的にd払いとau PAYの加盟店が共通化されることは「ない」とした。

ドコモ、メルカリ メルペイの加盟店170万箇所と、d払いの加盟店136万箇所を共通化して、1つのQRコードで双方のサービスが使えるようにする

 メルペイはOrigamiの子会社化を発表しており、事実上、ドコモも含めた3社による決済勢力が誕生したことになる。メルペイ青柳直樹CEOによると、「Origamiとドコモの話は独立して進めてきた」そうだが、「Origamiが信用金庫と進めてきた加盟店資産が、一定の期間を経てメルペイに統合されるので、ドコモとの提携にもポジティブな材料になる」とメリットを話す。見方を変えれば、ドコモはOrigamiとメルペイ双方の加盟店を手に入れられることになる。

 メルペイとd払いのポイント・残高を相互に使えて、加盟店も共通化されるということは、事実上の「統合」とみる向きもあるが、両陣営ともに「統合は考えていない」という。山田氏は「加盟店とサービスを、できるかぎりシームレスに使えるようにするが、その先は未定。進捗(しんちょく)を見ながらあらゆる可能性を探っていきたい」と言葉を選んだ。ドコモ プラットフォームビジネス推進部 ウォレットビジネス推進室長の田原務氏は「メルカリだけを使う人もいるので、いきなり統合は現実的ではない」と話し、あくまで利便性を高めることが提携の目的だとした。

 メルカリ側は、現在の月間利用者数1450万の約3分の2となる、1000万ユーザーのID連携を目指す。ドコモにとっては会員数のさらなる拡充が期待できる。また、リクルートの提携も発表したが、同社サービスやメルカリをはじめとしたECにおける“dポイント加盟店”を増やすことで、ポイントの取引増につながる。メルカリ側にとっては、メルカリの取引でd払い残高やdポイントを使えるようになれば、新規ユーザーの獲得やさらなる取引増が期待できる。

ドコモ、メルカリ メルカリでdポイントを使ったりためたりできるようになる

 メルカリとドコモは「データ連携」にも注力していく。山田氏は「プライバシーに配慮することは大前提だが」と前置きした上で「メルカリとメルペイが持つ二次流通データと、ドコモの利用データを掛け合わせることで、より精度の高いデータの構築が可能になる」と期待を寄せる。まだ具体的な取り組みは決まっていないようだが、「メルペイでは一次流通の(新品を扱う)メーカーとも話をしており、例えば1〜2年前のファッションにどんなトレンドがあるかが分かるので、メーカーのマーチャンダイジングに生かせるのではないか」と話す。吉澤氏も「(双方が)持っているデータのかけ算が無限に出てくるので、どういう風にレコメンドなどをするか、非常に可能性がある」とした。

ドコモ、メルカリ マーケティングや販促に生かすデータ連携も視野に入れている

 提携に至った経緯をあらためて問われた山田氏は、「いろいろな取り組みを行っていた中で、自然発生的に踏み込んだ話が出た。何年も前というわけではなく、最近になって詰めて発表した」とコメント。なお、交渉の詰めはここ1〜2カ月で進めてきたそうだが、2019年11月18日に発表された、ヤフーを擁するZホールディングスとLINEの経営統合が直接の契機になったわけではなく、「それが交渉に全く影響を与えなかったといったらウソになるが、もともと親和性高いということで、話し合いをしていた」(野辺氏)とのこと。

 提携を記念して、メルカリでの決済にd払いを使うと、10%のdポイントを還元するキャンペーンを2月4日から24日まで実施する。ここにドコモが2月1日から29日まで実施している「d曜日キャンペーン」と併用すると、合計で20%のdポイントが還元される。さらに、2020年5月を予定しているIDの連携開始時にも、キャンペーンを実施する予定。一方、メルカリとd払いではユーザーの属性が異なるため、「得意分野を生かしたプロモーションも実施していく」(野辺氏)。

ドコモ、メルカリ メルカリでd払いを使うと、合計で最大20%のdポイントを還元するキャンペーンを実施する
ドコモ、メルカリ ID連携に伴うキャンペーンも計画している

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