ナビタイムとも連携しており、ドコモ・バイクシェアのAPI経由で空き情報をほぼリアルタイムに提供できるようにしている。駅から離れた観光地や商業施設などは、目的地に着いた自転車が、また出発地に戻ってくる例も多いが、それ以外の場所だと、目的地に着いた自転車が元の出発地に戻ってこずに、乗りたい人がいてもポートに空き自転車がない、という例が発生しやすい。その場合はトラックなどで自転車を戻す「再配置」が行われる。
ナビタイムMaaS事業部部長の森雄大氏は、経路検索によってシェアサイクルの利用を促すことで再配置を誘導するような「自然な最適化」ができれば、インフラとしてもっと活用されると予測する。
清水氏は、このようにさまざまな事業者や地方自治体などの関係各所と協業しつつ、自転車だけではなく複合的な交通手段・サービスなどと連携できるプラットフォームを形成するのが大事だと話す。
ドコモ・バイクシェアでは、シェアサイクル事業を「地域が抱える交通課題を解決できるかどうか」(清水氏)という観点で進めているという。逆に言えば、「解決すべき課題がない、シェアサイクルでは解決できないエリアでやってもしょうがない」(同)。シェアサイクルで解決できるのは交通課題の一部でしかなく、その意味ではMaaSと親和性があるため、ナビタイムのような経路検索やMaaSと連携してユーザーのニーズに対応していくことが重要だという。
MaaSに関して大きな影響を与えているのが新型コロナウイルスだ。その影響は経路検索にも現れており、交通手段別の検索数では自転車が大幅に伸びていたという。2020年2月に比べて6月は公共交通機関や自動車の検索数が減少したのに対して、自転車は2倍に増加。例年と比べても高い割合で、コロナ禍において自転車のニーズが高まっていると森氏はみる。
「MaaSの定義は、利用者が安心・安全・快適に移動するための移動サービスの総体で、それを実現するための手段」と森氏。コロナ禍でもその定義は変わらないが、安心・安全・快適のバランスが変わった、と森氏は指摘する。
今までにはなかった「密を回避する」「オープンエアで移動する」といった点に比重が移っているため、コロナ禍でそういった経路検索が重要視されるという。ナビタイムは混雑情報を提供して密を回避する経路を提供しているが、森氏は「ポストコロナ時代の武器になるのでは」とアピールする。
ドコモ・バイクシェアでも、新規会員登録数は4月以降伸びており、初めて使った人や頻度が増えた。逆に在宅ワークが増えたためか、頻度が減った、という人も増えているそうだが、「トータルでユニークユーザーは多くなった」(清水氏)そうだ。
新型コロナウイルスによる新しい生活様式で、シェアサイクルを含めたMaaSにも新たな動きが見えてきているようだ。
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