世界を変える5G

NTTドコモが「なんちゃって5G」を優良誤認になると牽制――新周波数帯だけで「5Gエリア競争」に勝てるのか:石川温のスマホ業界新聞

» 2020年09月04日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 8月25日、NTTドコモは「5Gネットワーク展開戦略」をテーマにした記者説明会を開催した。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2020年8月29日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 今秋、省令改正によって、4G向け周波数帯で5Gスマホを収容できるようになる。KDDIやソフトバンクは、クアルコムやエリクソンが展開する技術である「DSS(ダイナミックスペクトラムシェアリング)」を用いて、一気に5Gエリアを広げていくものと思われる。

 そんななか、NTTドコモは「制度化に賛同」という立場を示しつつも、「なんちゃって5Gは優良誤認につながりかねない」として、他社に対して牽制して見せた。

 「5Gエリアと表示されていても、周波数帯は変わらないので、4Gと同等もしくはそれ以下の速度しか出ないのはユーザーに対して不誠実だ」というわけだ。

 NTTドコモとしては5G用に割り当てられた新しい周波数帯で、5Gのネットワークを構築していくのが基本とした。また、NTTドコモのPREMIUM 4G(懐かしい)は国内最速であることもアピールされた。

 ただ、この話を聞いて思い出したのが、10年近く前のことだ。NTTドコモがiPhoneを取り扱い始め、4Gが出始めたころ、3社で同じiPhoneで比較できるということもあり、各メディアがこぞって「iPhoneで4G LTEのエリア、速度チェック」を記事にしたのだった。

 山手線や新幹線などに乗り、あちこちのホームや駅前で「4Gが入るか」「速度はどれくらいか」というチェックをして、ひたすら記事にしていた。

 KDDIは3Gから4Gへの移行に焦っていたこともあり、800MHzで4G LTEを全国展開。エリアの広さをアピールしていた。

 一方、NTTドコモは「3Gネットワークはまだまだ速い。地方などは3Gネットワークで十分であり、4G LTEは混雑しているところを中心に展開する」みたいなスタンスであった。

 しかし、4G LTEがつながる場所の比較において、KDDIやソフトバンクのエリアの広さが際立つなか、NTTドコモが他社に比べて見劣りする状況になりつつあった。結局、NTTドコモは3Gネットワークに依存することなく、急遽、方針転換して、4Gネットワークの全国展開を急いだのであった。

 メディアもユーザーも、まずはスマホのアンテナピクトを見て「あ、5Gだ」と喜び、そこで速度チェックをしたりする。今時、4Gでつながっているのが当たり前であり、わざわざそこで速度チェックはしない。

 今後、メディアが5Gエリアの比較記事を書く際には、まずは「5Gがつながるか」で○か×の印がつけられ、その次に速度測定という流れになる。結局のところ、○が多くなければ認められず、×が多ければ「いまいちなキャリア」のレッテルを貼られることになるのだ。

 NTTドコモの品質重視な姿勢は理解できなくもないが、マーケティング的な戦略もないと、他社に「なんちゃって5G」で出し抜かれることになってしまいそうだ。

© DWANGO Co., Ltd.

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