―― 今回は「Rakuten BIG」と「Rakuten Hand」とオリジナル機種を2つ出しました。多くのメーカーが5G端末のラインアップを強化する中で、楽天モバイルとしてあえて独自(オリジナル)の端末を出した理由を教えてください。
アミン副社長 テクノロジーを正しいコストターゲットに基づいて“破壊”したいと考えて投入しました。
Rakuten Handを見ると、似たスペックの機種と比べると、適正な価格で非常に高いスペックなカメラを搭載できていると考えています。Rakuten BIGについても、ミリ波とSub-6の両方に対応し、かつ高いスペックのカメラを搭載しながらも手頃な価格(税込みで6万9800円)を実現しています。
理想的なシナリオは、さまざまな5Gデバイスが出てきて、消費者に選択肢が提供されることです。信頼性の高いハイクオリティな端末を提供することと、(技術開発や競争を通して)コストを引き下げていくことが重要だと考えます。
―― Rakuten UN-LIMITについて、6月末時点での“申込数”が100万件に達成したとの話がありました。実際の“契約数”はどうでしょうか。
山田社長 (親会社の楽天における)決算発表のタイミングでの発表としたいので、今回は6月末時点の申込数のみで勘弁いただければと思います。
現在は9月末ですが、ユーザー数は順調に伸びます。ご指摘の通り、時間的なギャップと、主に「Rakuten Mini」の在庫切れに伴うラグもあるため、申込数と契約数にはズレがあります。
近いタイミングで(楽天の)決算発表があるかと思いますので、そこまでお待ちいただければと思います。
―― 以前2020年内に300万契約という話がありましたが、達成できそうでしょうか。
山田社長 今、それを目指している所です。率直にいうと、今は行くか行かないか微妙な地点にいます。(契約を促進するための)キャンペーンをどれくらいやるか検討を進めています。
―― 5Gで何ができるのかという話は今後していくということですが、ユーザーが5Gを使うメリットがどの辺にあるのか教えてください。
山田社長 足元では「大容量」です。いろいろな映画などが圧倒的な速度でダウンロードできます。あとは、「低遅延」によってゲームの楽しみ方が広がることも想定きます。
いろいろな企業や人とのコラボによって、使い方は広がっていくと考えます。
―― 9月30日時点で、5Gの下り最大通信速度が約870Mbpsとなっています。これは、Sub-6だけを使った場合の速度なのでしょうか。もしもミリ波込みであるとするならば、何が速度上の障壁になっているのでしょうか。これでは他社のLTEよりも遅く、競争面で不利なようにも思えるのですが……。
アミン副社長 私たちはクラウドベースのソフトウェアドリブンなプラットフォームを構築しています。その上でSub-6とミリ波の5Gサービスを同時に開始しています。
今後1カ月以内にソフトウェアの強化(更新)を行い、ミリ波を含むより広い帯域幅を使って(11月までに)ギガビットの通信速度を実現します。この能力強化は主に(ネットワーク側の)ソフトウェアによるものなので、他の通信事業者よりも早いペースで(5Gネットワーク全体の)強化を図れると考えています。
―― 確認ですが、現時点ではソフトウェアの作り込みが足りないので、それを作り込むことで高速化するということですか。
アミン副社長 その通りです。私たちは(作り込みに)とても自信を持っています。ソフトウェアの改善で、より高いスループット(実効通信速度)を実現していきます。
―― 今回の説明を聞く限り、Rakuten UN-LIMIT Vでもローミングの扱いは変わらないようです。5G契約でも、エリア外ではauネットワークにローミングするという理解でいいでしょうか。5Gについても、auネットワークへのローミングをする予定はあるのでしょうか。
山田社長 大前提として、LTEについては全国を自社でカバーするのに時間が掛かるので、整備するまでの間、全国に基地局のあるau(KDDIと沖縄セルラー電話)からネットワークをお借りしたというスタンスです。
しかし、5Gはどのキャリアも同じスタート(≒ほぼゼロからのエリア構築)ということになります。auは3月から5Gサービスを提供していますが、全国でエリアカバーできている訳ではありません。
なので、5Gについてはローミングに関する話は一切していませんし、将来的にもau、あるいは他のキャリア(NTTドコモやソフトバンク)からローミングを受ける事は恐らくないと思います。あくまでも、私たちの5Gは自社(楽天モバイル)の話をしているとご理解ください。
―― 投資計画について、総務省には2024年度末(2025年3月末)までに2000億円という計画を提出していると思うのですが、現状で差分は生じているのでしょうか。
山田社長 現状において、その計画は変えていません。ただし今後、エリア展開によっては増減する可能性はあります。
不確定要素もありますが、現状における公式な予算は、総務省に提出した通り2000億円で考えています。「基地局をもっとたくさん作る」「別の方式で(エリアを)カバーする」といった理由で見直すことはあるかもしれませんが、現時点において単価ベースであえて予算を変えないといけないような想定外の事態は起こっていません。
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