世界を変える5G

iPhone 12シリーズは5G普及の起爆剤になるか 日本市場へのインパクトを読み解く:石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2020年10月16日 07時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

リーズナブルなiPhone 12、12 miniに対し、5Gの魅力を引き出したProシリーズ

 5G対応のスマートフォンとしては、価格もかなり“頑張った”ように見える。最安となるiPhone 12 miniは64GB版が7万4800円(税別、以下同)で、ミドルレンジ上位のAndroid端末と同程度か、やや高いレベルに抑えられている。7万4800円は、1年前に「iPhone 11」が発売されたときと同価格。iPhone 12は11よりも1万1000円高い8万5800円だが、その下に「mini」という新カテゴリーを作ることで値上げ感は払しょくした。

iPhone 12 iPhone 12の下にiPhone 12 miniを置くことで、最低価格はiPhone 11と同じになった

 ミドルレンジ上位のAndroidと比較したが、iPhone 12シリーズに搭載されるプロセッサは共通の「A14 Bionic」で、処理能力は競合(恐らくQualcommのSnapdragon 865を指しているとみられる)より50%高いとのこと。5nmのプロセスルールで製造された最新のプロセッサで、AIの処理を担うニューラルエンジンも16コアになるなど、大幅な強化が図られている。ディスプレイも、4機種共通で有機ELを採用する。iPhone 12 miniはサイズこそ小さいが、れっきとしたハイエンドモデルなのだ。このスペックの5G対応端末としては、コストパフォーマンスが抜群に高い。

iPhone 12 iPhone 12 miniはミドルレンジ上位の端末に近い価格だが、スペックはハイエンドモデルと肩を並べる

 クック氏は、イベントで「iPhone 11は最も(販売台数的に)ポピュラーなスマートフォンになった」と語っていたが、これは価格戦略が市場のニーズにはまった側面も大きい。iPhone X以降のiPhoneは高価格化していたが、Appleは2018年に液晶を搭載し、カメラもシングルカメラに抑えつつ価格を下げた「iPhone XR」を導入。2019年には、このiPhone XRの後継機を“標準モデル”に格上げしつつ、「iPhone XS」や「iPhone XS Max」の後継機を“プロモデル”に位置付け直した経緯がある。

 日本でもこの戦略が当たり、iPhone 11はヒットモデルになった。4月に発売された第2世代の「iPhone SE」が販売で健闘しているため、若干印象は薄くなってしまったが、3月までは、販売ランキングでも各キャリアのモデルがベスト10の過半数を占めていた。iPhone 12シリーズではやや価格の上がったiPhone 12と、iPhone 11の価格を維持したiPhone 12 miniに分かれてしまったため、売れ行きは分散することになりそうだが、フルモデルチェンジが図られ、ディスプレイのクオリティーが大きく上がっているだけに、再びヒットする可能性は高い。

iPhone 12 シリーズ内での位置付けを変えることで、ヒットモデルになったiPhone 11

 価格で攻めたiPhone 12、iPhone 12 miniだが、“5Gならでは”を味わえるのは、“プロ仕様”をうたうiPhone 12 ProやiPhone 12 Pro Maxだ。特に2機種は撮影機能が大幅に強化された。静止画は、Appleが開発した独自フォーマットの「Apple ProRAW」での撮影が可能。動画は、Dolby Visionに対応した60fpsの4K HDRでの撮影を行える。スペシャルイベントでも、プロが撮影機材として使えることが度々アピールされていた。

iPhone 12 5Gのスペックをフルに生かすのは、撮影機能が大幅に強化されたiPhone 12 ProやiPhone 12 Pro Maxの役割。プロ仕様の立ち位置がより明確になった

 単に撮影するだけでなく、撮影から編集、配信までを一貫して行えるのが、iPhone 12 ProやiPhone 12 Pro Maxの魅力だ。いわば、通信機能付きの撮影機材といったところだが、いずれの新機能も、データサイズの増大に直結するため、高速通信を売りにする5Gが生きてくる。5Gのスペックをどう生かしていくのかは、端末メーカーに突き付けられた課題だが、Appleは映像制作が一気通貫で行えるプロ仕様のiPhoneで応えたといえる。

iPhone 12
iPhone 12
iPhone 12 高画質や写真や動画を撮影できるだけでなく、編集や共有までを一貫して行える、新世代のモバイル撮影機器として活躍できる。それを支えるのが5Gだ

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