高橋社長、auの値下げは「今のところ考えていない」 UQの新プランは「国際水準に遜色ない」

» 2020年10月30日 20時08分 公開
[田中聡ITmedia]

 KDDIが10月30日に開催した決算説明会で、高橋誠社長が政府の値下げ要請やマルチブランドの考え方について、あらためて説明した。

KDDI KDDIの高橋誠社長(写真提供:KDDI)

 auブランドについては、既に「全機種を5Gにする」と明言している通り、スマートフォンやサービスは「5G」を徹底的に追求する。料金プランも無制限プランを主軸に据え、NetflixやTELASAなど映像サービスとのバンドルにも注力する。

KDDI auではハイスペック機からミッドレンジ機まで全て5G端末とする

 一方、シンプルかつお手頃な価格を追求するのが「UQ mobile」だ。10月28日に月額3980円(税別)の20GBプラン(スマホプランV)を発表し、2021年2月以降に提供する。これに「BIGLOBEモバイル」と「J:COM MOBILE」を加え、さらに新たに設立する子会社「KDDI Digital Life」を含めてマルチブランドでモバイルサービスを提供していく。

 高橋氏はUQ mobileのスマホプランVについて「国際水準に遜色ないプランを高品質で。(日本と)同じような品質を担保しているニューヨークやソウルと比べても安い」と自信を見せる。

KDDI マルチブランド戦略で多様なニーズに対応していく
KDDI 月額3980円で20GBの高速データ通信が可能なUQ mobileの「スマホプランV」

 なお、スマホプランVの提供時期が2021年2月と遅い理由は「システムが間に合わないから」とのこと。「ソフトバンク(Y!mobileのシンプル20)は12月末からなので、社内で急ぐように言っている。早められるなら早めたい」とした。

 マルチブランドでさまざまな選択肢を用意することでグループ外のMVNOやサブブランドへの流出を防ぎつつ、UQ mobileやBIGLOBEモバイルなど他ブランドのユーザーには「5Gの魅力を訴求してauへのアップセルも実現する」と高橋氏。実際、2020年10月のUQ mobileからauへのアップセルは、前年比で3.5倍強増加しているという。

KDDI マルチブランドでグループ外への流出を防ぎ、サブブランドからauに移行してもらうことでアップセルも狙う

 一方で、スマホプランVを提供することで、auからUQ mobileへ流れるユーザーが増えることも予想される。高橋氏も「料金にこだわったauのお客さまがUQに移ることは一定程度はあると思う」と認めるが、「auの5Gの良さをお伝えして、UQからauへのアップセルを作りたい。また、スマホプランSやRからVに上がる人もいると思うので、そのあたりの相乗効果を見たい」とした。

【訂正:2020年11月2日14時45分 初出時に、「UQへのアップセルを作りたい」としていましたが、正しくは「UQからauへのアップセルを作りたい」です。おわびして訂正致します。】

 5Gサービスは「基本的にはauを中心にやる」としながらも、「MVNOには対応する義務があるので、要望に応じて対応していきたい」とした(実際、IIJが法人向けにKDDI回線を使った5Gサービスを10月30日に提供開始した)。

 総務省が、公正競争を実現するための計画をまとめた「アクション・プラン」については、「思ったより細かいことがいっぱいあったので、1つ1つ対応していく」と高橋氏。MNPの手数料無料化については「われわれも対応する方向で考えていきたい」とした。

 ドコモは値下げ要請についてはまだ対応しておらず、NTTのTOB(株式公開買い付け)が終了する2020年11月16日以降に対応策を発表する可能性が高い。しかし仮にドコモ自身が20GBの安価なプランを発表したとしても、「すぐさまauで20GBということにはならないだろう」と高橋氏。「ドコモとは料金戦略が違う。われわれはマルチブランドで、多様なユーザーに対してプランを立てている」のがその理由だ。

 つまりauのプランは値下げをせず、安価なプランはUQで対応していく考えを改めて示した。auの値下げについては「相手の状況を見ながらになるが、今のところあまり考えていない」とした。

KDDI 端末販売収入の減少が響き、2021年度上期の売り上げは前年比で1.1%減の2兆5372億円だったが、ライフデザイン領域とビジネスセグメントの売り上げが伸びた影響で、営業利益は前年比6.4%増の5888億円となった

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