NTTドコモは10月29日、2020年度第2四半期決算を発表した。決算発表に合わせて「子育てサポート割引」の新設や「ハーティー割引」の見直しも発表された。
一方で、総務省の「アクション・プラン」に合わせるかのようにKDDIとソフトバンクが打ち出した「20GBで5000円を切る料金プラン」は提示されなかった。
ドコモが両社への対抗策を打ち出さなかったのはなぜなのか。同日に行われた報道関係者向けの決算説明会における、記者と吉澤和弘社長とのやりとりに、そのヒントがある。
KDDIと沖縄セルラー電話は「UQ mobile」、ソフトバンク(とウィルコム沖縄)は「Y!mobile」の各ブランドで新料金を打ち出した。両ブランドは「サブブランド」と呼ばれており、「au」や「ソフトバンク(SoftBank)」といった「メインブランド」よりも割安な料金を特徴としている。
一方で、ドコモはサブブランドを持たない。強いていえば兄弟会社であるNTTコミュニケーションズが運営するMVNOサービス「OCN モバイル ONE」がそれに該当するかもしれない。しかし、ドコモは電気通信事業法に定める「禁止行為規制」の対象であり、NTTコミュニケーションズはドコモの特定関係法人に該当するため連携は難しい。
総務省(政府)の方針にドコモはどうやって応えるのか――質疑応答のやりとりを見てみよう。
―― KDDIとソフトバンクが(サブブランドで)20GBプランを発表しました。そのことに対する受け止めと対応策をお聞かせください。
吉澤社長 KDDIはUQ mobile、ソフトバンクはY!mobileのブランドで20GBプランを発表したことは承知しています。
私たちは政府からの値下げの要請について、特に大容量プランにおける海外との価格差比較や平均料金差を問題視しているのだと認識しています。恐らく、両社の(新しい)料金プランはそれに応えたものだと思います。
私たちもそれに対抗しないといけないわけですが、具体的に「どういうふうに」「どのくらい」「いつから」ということについては、さまざまな選択肢の中から継続的に検討するというのが現状のスタンスです。
もう少しいえば、現在(親会社であるNTTが)TOB(株式公開買い付け)を行っている期間中ということもあって、(料金面での)新たな戦略を打ち出せないので、このような回答とさせていただければと思います。(筆者注:TOBの進行に影響が出る施策は取れないという判断であると思われる)―― 先ほどの質問とも関連しますが、KDDIもソフトバンクも格安ブランドの方で新プランを設ける形で対応しています。御社自身が「サブブランド」を作るお考えはあるのでしょうか。
吉澤社長 先ほども言った通り、大容量プラン(の料金)については、さまざまな選択肢から対抗策を考えていきます。サブブランドを作るのか、メイン(ドコモ)ブランドで対応するのか、他の選択肢を取るのかなど、決まっていることはありません。
ドコモとしては、「20GBで5000円を切る料金プラン」について対応は検討しているものの、少なくともNTT(日本電信電話)によるTOB(株式公開買い付け)が終了しないと身動きが取れない状況にあるようだ。
このTOBは11月16日まで行われる。少なくともその終了日以降にならないとドコモの「対応策」は明らかにならない。早くても、12月になると思われる。
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