「iPhone 12 mini」と「iPhone 12 Pro Max」が、11月13日に発売される。iPhone 12 miniは「iPhone 12」のコンパクト版。これに対して、iPhone 12 Pro Maxは「iPhone 12 Pro」の大画面版という位置付けで、広角カメラのセンサーサイズが大判化していたり、望遠カメラのズーム倍率が上がっていたりと、スペックも強化されている。小型のiPhoneを待ち望んでいた人や、カメラの性能をトコトン追求したい人は、この2機種の登場を待ち望んでいたはずだ。
発売に先立ち、これら2機種の実機を試用することができた。ここでは、iPhone 12、12 Proに続き、iPhone 12 miniと12 Pro Maxの2機種をまとめてレビューしていきたい。なお、iPhone 12シリーズは、いずれもプロセッサが「A14 Bionic」で、サイズを除いた外観も同じと、共通点が多い。重複している箇所は割愛しているため、可能であれば前回のレビューも参照していただければ幸いだ。
iPhone 12 miniとiPhone 12 Pro Maxは、iPhone 12シリーズの中で最小と最大。A14 Bionicを搭載し、デザインも共通化されている一方で、サイズゆえの違いが最も出やすい。例えば、持ちやすさに関しては、iPhone 12 miniが圧倒的に上だ。サイズとしては、4月に発売された第2世代のiPhone SEより小さく、手のひらにしっかり収まる。小さなポケットにもすっきり収まり、133gと軽量のため、持ち運びやすさ重視の人にはうってつけの端末。持ったとき、とにかく軽く、存在感を主張しないのがiPhone 12 miniだ。
ディスプレイの端まで指が届くため、通知センターやコントロールセンターをスムーズに開くことができ、しっかり握れるため、落下の心配も少なくなる。キーボードもiPhone 12シリーズの中では唯一、左右に寄せずに使っても快適に入力できた。ホームボタンがある第2世代のiPhone SEよりコンパクトで、操作は抜群にしやすい。
iPhone 12 Pro Maxからは、真逆の印象を受ける。手に持ってみるまでもなく、見た目はとにかく「デカい」。重量感も、その印象をさらに強化する。重さは200gを大きく超え、同じProモデルのiPhone 12 Proから39g増の226g。サイズゆえに、片手で持つと空中に浮く面積が広いこともあって、ポロっと手からこぼれ落ちそうになってしまうのが心配になるほどだ。
これだけ見ると、iPhone 12 Pro Maxはデメリットしかないと思ってしまうかもしれないが、そうではない。先代の「iPhone 11 Pro Max」よりディスプレイは0.2型大型化しており、映像を表示したときの迫力は、スマートフォンというより、むしろコンパクトなタブレットのそれに近い。iPhone 12シリーズはHDR動画の再生に対応しており、再生時に輝度を最大1200ニトまで持ち上げる仕組みだ。この機能がディスプレイの大きさと相まって、映像が細部までしっかり見える。
逆に言えば、iPhone 12 miniはコンパクトゆえに、映像の迫力はどうしても控えめになってしまう。文字のサイズもそれに比例して小さいため、視力によっては、画面サイズを「標準」から「拡大」に変更したくなるはずだ。ただし、拡大表示すると、そのぶん1画面に表示できる情報量は減少する。ディスプレイという表示デバイスの制約によって、こうも使い勝手が変わってしまうというのは、なかなか新鮮。ベースが同じiPhone 12シリーズのため、差分をより強く感じてしまうのかもしれない。
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