月額2980円、ahamoの次の一手はどうなる?――「電話しないユーザー」の期待にどう応えるのか石川温のスマホ業界新聞

» 2021年02月26日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

ソフトバンクが月額2480円「LINEMO」を発表したことで、次のジャンケンはNTTドコモ「ahamo」に回ってきた。3月1日に、対応端末ラインナップを発表すると先日の決算会見で触れていることから、このタイミングで何からの発表をする可能性はゼロではない。

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この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年2月20日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額税別500円)の申し込みはこちらから。


 「月額2480円への対抗値下げは必至」だとは思うのだが、一方で、ahamoが簡単に2480円に値下げできなそうな懸念材料も存在する。

例えば、3キャリアのオンライン専用プランのうち、ahamoだけが国際ローミングでも、20GBを消費するようになっている(LINEMOは明確に非対応、povoは未発表)。ahamoではギガホなどと比べて少ない82の国と地域でローミングに対応するのだが、この理由について、井伊基之社長は「ahamoの料金でやろうとすると、ローミング契約の安い国しか選べない」と語っていた。

 つまり、2980円という値付けは、国際ローミング契約料を踏まえた料金設定になっていると考えられる。となると、いたずらに2480円に下げるとなれば、ローミング契約料の高めの国が除外になる可能性もあり得そうだ。

 また、NTTドコモの場合、ahamoがファミリー割引のカウント対象となる。つまり、ahamo自体は安くなくても、「ほかの家族は安くなっている」というアピールもできなくはない。家族3人が維持されれば、残りの2人はそれぞれ月額1000円、安くなる。つまり、ahamoが2980円であっても家族トータルで見れば「安い」と言えなくもない。

 NTTドコモからすれば、そうした主張になるだろうが、一般ユーザーからすれば「家族トータルで考えればお得」というはわかりにくく、理解されづらい。かつて、NTTドコモは「シェアパック」で家族まるごとお得なアピールをしていたが、結局、わかりづらく、個人個人のデータ容量にしてしまった。

 総務省が散々、指摘している「わかりやすさ」を最優先にすると、月額2980円を2480円に値下げするのが無難だ。

 KDDIがpovoを発表した翌日、井伊基之社長にグループインタビューする機会を得たが、井伊社長は「さすがだなという印象。5分通話定額を分けてこられたのは、さすが試合巧者だなと。私たちも実は考えていた。でも面倒くささを排除し、というかパックにした。(中略)ahamoを出す段階でキャッチアップされることは予想していた。最後は料金競争ではない、プロモーションや使い勝手などが争点になると。だから想像通り」と語っていた。

 確かに、1回5分のかけ放題を含めれば、月額2980円で3社横並びだ。しかし、3社のうち2社が、月額2480円をベースとしただけに、ahamoだけが突出して「割高」な印象が出てしまった。井伊社長は「僕らの考え方では、3分の1くらいの方は5分の通話定額でいい。また別の3分の1は不要、もう3分の1かけ放題にしたい。つまり3分の2は、通話定額がついていたほうがいいと思って付けた」という。

 その昔、NTTドコモが音声かけ放題の「カケホーダイ」に料金プランを統一したときも、結局、カケホーダイを必要としないユーザーの声が大きくなってきたために、改めて、カケホーダイのないシンプルなプランが登場したことがあった。

当時よりも「電話はしない」というユーザーが増えているだけに、NTTドコモがどんな判断を下すのか注目だ。

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