「折りたたみ、ハイエンドカメラ、カジュアル」 Xiaomiが狙う「スマホ世界シェア2位」山根康宏の中国携帯最新事情(2/2 ページ)

» 2021年04月09日 16時03分 公開
[山根康宏ITmedia]
前のページへ 1|2       

若者向けのスマホでブランド力をアップ、OPPOやVivoへも対抗

 Mi Mix Fold発表の前日にはXiaomiのスマートフォンのメインラインである「Mi」シリーズの最上位モデル「Mi 11 Ultra」が発表された。シリーズ中核モデルとなる「Mi 11」は2020年12月に発表しており、Mi 11 Ultraはそれから3カ月後に発表された。これは打倒Huaweiを目指す狙いがあったからだろう。

 Huaweiは例年、カメラ性能を高めた「P」シリーズを4月ころに発表している。Pシリーズは業界最高のカメラ品質を誇るとともに、スペックも高い同社のフラグシップモデルだ。しかし2021年に登場予定の「P50」(仮称)は、米国の制裁を受けた関係から、発表スケジュールは確定されていない。HuaweiのPシリーズは世界中に愛好者が多いが、2020年モデル「P40」シリーズはGoogleサービスが非搭載だったことから販売は思わしくなかったとみられている。XiaomiはHuaweiの2021年フラグシップ製品が出る直前にMi 11 Ultraを投入することで、Huaweiの最高カメラフォンを待ち望んでいる消費者に自社製品を売り込もうと考えているのだろう。

Xiaomi Mi 11 UltraでHuaweiからカメラフォンのポジションを奪おうとしている

 一方、ミドルハイレンジモデル「Mi 11青春版」も発表会ではしっかりと説明が行われた。Huaweiなど他社の新製品発表会ではハイエンドモデルを中心に紹介し、中低位モデルはアナウンスだけを行う、ということが多い。しかしMi 11青春版はカラフルな本体カラーを中心に「楽しいスマートフォン」として若い層にアピールを行った。

 Mi 11青春版はSnapdragon 780Gを搭載。メインカメラは6400万画素でインカメラも2000万画素とスペックが高く、セルフィー需要にも対応する。また本体重量は159gと軽量で片手でも楽に持てる。iPhoneよりもベゼル幅が薄くディスプレイ体験も高いという。基本性能はしっかり押さえつつ、春を感じさせる6色展開のカラバリにより20台前半の若者をターゲットにしている。価格は2299元(約3万9000円)だ。

 Xiaomiは低価格モデル「Redmi」シリーズも積極的に展開しており、スペックを抑えた製品も多くラインアップは広い。だが正直なところ、中国の若い層はRedmiを買うならOPPOやVivoの低価格モデルを選ぶ傾向がある。Xiaomiはコストパフォーマンスを売りにした製品が多いものの、同じ価格帯のOPPOやVivoの製品よりブランドイメージは低い。最近では若者をターゲットにしたrealmeもシェアを伸ばしており、Xiaomiとしては女性層など、これまで弱かったユーザーに販売を広げることが販売数増に大きくつながる。

Xiaomi Xiaomiのイメージを一新させる「Mi 11 青春版」。カジュアルでおしゃれなイメージだ

 Mi 11青春版がXiaomiの「どことなく安い」というイメージを払拭(ふっしょく)させることができれば、Xiaomiを持つことがファッションやトレンドになり、価格やスペックを抜きにしてもXiaomiを買おうと思う消費者が増えるだろう。Mi Mix FoldやMi 11 Ultraのようなハイエンドフォンは性能を重視するユーザーなら黙っても買っていく。ボリュームゾーンともいえる一般消費者が、HuaweiやOPPO、Vivoではなく真っ先にXiaomiを選ぶようになれば、Xiaomiのスマートフォン販売数は一気に増加するだろう。

 2020年の世界のスマートフォン市場は1位Samsung、2位Apple、3位Huawei、4位Xiaomiだった。HuaweiはHonorを分社化したことや、米国の制裁の影響で2021年は出荷台数を大幅に減らすと予想されている。2021年はXiaomiが世界シェア3位になることは確実といえる。しかしXiaomiが目指すのは3位の位置ではなく、現時点で約5000万台の差をつけられている2位Appleを抜くことだろう(数値はガートナー調査)。2020年は一瞬とはいえHuaweiがSamsungを抜いて1位にもなった。Huaweiを抜き去ったXiaomiがさらに上を目指していけば、AppleどころかSamsungを抜き世界シェア1位の座に躍り出ることも夢ではないだろう。

Xiaomi 2020年スマートフォン出荷台数(ガートナー)。Xiaomiは4位だった
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月06日 更新
  1. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  2. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  3. 「スマホ新法」施行前にKDDIが“重要案内” 「Webブラウザ」と「検索」選択の具体手順を公開 (2025年12月04日)
  4. 三つ折りスマホ「Galaxy Z TriFold」の実機を触ってみた 開けば10型タブレット、価格は約38万円 (2025年12月04日)
  5. 「楽天ポイント」と「楽天キャッシュ」は何が違う? 使い分けのポイントを解説 (2025年12月03日)
  6. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  7. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  8. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  9. NHK ONE、簡単には「閉じられないメッセージ」表示へ 目的は“NHK受信料”の徴収 なぜ強引な仕様に? (2025年11月12日)
  10. 鉛筆デザインのiPad用スタイラスペン「Nelna Pencil」発売 物理ボタンに9機能を設定可能 (2025年12月03日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー