HuaweiとXiaomiの動きに注目 2021年に中国メーカーの勢力図はどう変わるのか?山根康宏の中国携帯最新事情(1/4 ページ)

» 2021年01月08日 13時00分 公開
[山根康宏ITmedia]

 2020年は新型コロナウイルスが世界中に広がり、オリンピックが中止になるなど経済活動や社会活動に大きな停滞感をもたらした。また米国と中国の貿易戦争に通信業界が巻き込まれた1年だった。中国メーカーのパワーバランスもこの歴史的な大きな2つの出来事により大きく変わろうとしている。中国大手4社の2020年の動きを振り返りながら、2021年の展望を予想してみた。

中国メーカー 2021年に覇権を手に入れる中国メーカーは?

Huawei:制裁の影響とHonor分離で出荷数減少は避けられない

 Huaweiの2020年は第2四半期にSamsungを抜いて悲願の世界シェア1位(出荷量ベース、複数の調査会社調べ)の座に上り詰めた。春先には業界トップクラスのカメラを搭載するP40シリーズに加え、3本柱のうちの1つ、nova 7シリーズも投入。ちなみにnova 6は2019年12月に発表されており、わずか4カ月で後継機を投入したことになる。

 同期の中国国内シェアも46%に達し(カウンターポイント調査)、2位のVivoとOPPO(各16%)、4位Xiaomi(10%)の3社合計と同じ数を出荷した。中国市場での圧倒的な強さが世界1位にHuaweiを押し上げた格好だ。

中国メーカー カウンターポイントの中国国内シェア調査結果。2020年Q2(第2四半期)は赤のHuaweiが46%とトップ

 しかし中国以外での市場では出荷台数を大きく落としている。IDCの調査によると2020年第3四半期、世界全体ではSamsungに次ぐ2位ではあるものの、欧州では60%の出荷減となりApple、Xiaomiに抜かれ4位へと落ち込んだ。シェア8.8%ということは10人に1人以下しかHuaweiの製品を買っていないことになる。

 ドイツなどではLeicaカメラ効果もあり、Huaweiのスマートフォンは人気だった。米国からの経済制裁によりネガティブなイメージが多少は植え付けられただろうが、ハードウェア製品は業界トップクラスだ。しかしGoogle系サービス(Google Mobile Services:GMS)を搭載できないことから主要アプリが使えず、消費者から敬遠されてしまった。スマートフォンを複数持つ人やスペック重視のギーク層ならHuawei端末を買っても難なく使い分け・使いこなしをするだろうが、一般的な消費者が使うにはハードルの高い存在になってしまったのだ。

中国メーカー IDCによる、欧州の2020年第3四半期調査。Huaweiは4位に後退している

 米国の大統領が2021年1月から変わることでHuaweiに対しての制裁も今後事態が変わる可能性はあるかもしれない。しかしすぐに状況が改善されることはないだろう。またプロセッサの製造委託先である台湾TSMCは、Huawei(HiSilicon)のKirinプロセッサを製造できなくなった分、他社製品の受注を増やしている。仮にKirinの製造が可能になったとしても、TSMC側の工場キャパは既に逼迫(ひっぱく)しており、十分な量のKirinプロセッサを生産することは難しい。制裁が完全に解除になっただけではプロセッサ確保の問題は解決しないのだ。

中国メーカー TSMCの工場に生産キャパがなければプロセッサを作ることはできない

 QualcommやMediaTekが5GプロセッサをHuaweiに販売できるようになれば、それを使った製品も出てくるかもしれない。しかしそうなると今度は同じプロセッサを使う他社製品とハードウェア性能は変わらなくなってしまう。Kirinの特徴であるAI処理や省電力機能、モデムの効率よい制御などが失われれば、他社との差別化ができないだけではなく今のフラグシップモデルと同じ性能のスマートフォンを作ることは難しい。一方、中低位機種を他社プロセッサで製造するとなると、今度は価格競争に巻き込まれてしまい、この分野で強いXiaomiやRealmeとの競争が待っている。

 ZTEは2018年に米府からの制裁を受け、2020年に入りようやく特徴的な製品を出せるようになった。しかしそれでもまだ同社のスマートフォンビジネスは本調子を取り戻しているとはいえない状況だ。ZTEですら2年かかっていることを考えると、Huaweiの2021年は非常に厳しい1年になるだろう。さらにサブブランドのHonorも別会社となる。業界の予測では2021年のHuaweiのスマートフォン出荷数は5000万台に落ち込むと見られており、これは2019年の約2億4000万台の5分の1程度となる。シェア6位以下の「その他メーカー」にランクダウンしてしまうのだ。

 Huaweiは独自のプロセッサ工場を上海に設置し、まずは45nm(ナノメートル)プロセス、2021年末に28nmプロセス、2022年末に20nmプロセスの製品化を目指す。しかし最新のKirin 9000は5nmプロセスで製造されており、Huaweiがここまで到達するには長い時間が必要だ。Huaweiのスマートフォンビジネスが自社だけで完結できるようになるまでは数年かかることになる。

 幸いなことに、中国は2020年末時点で既に世界最大の5G市場となっており、5Gに関するネットワークやスマートフォンの研究開発が滞ることはないだろう。2021年は数を追わず、最新の研究成果を形にした特徴的なスマートフォンを出すことで市場での存在感を維持したいところだ。

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