端末やサービスの変化からも分かる通り、キャリア側のビジネスモデルも通信規格の進化によって大きく変わった。垂直統合型から水平分業型への移行といってもいいだろう。型番やメニューの細部に至るまで仕様をキャリアが決め、その上で展開するサービスでも主導権を握っていたのは3G時代まで。LTEでスマートフォンが普及して以降は、グローバル仕様の端末が増え、サービスもサードパーティーが提供するものが主流になった。
3社とも、サービスやアカウントのオープン化に踏み切ったのは、スマートフォン普及後の動向を踏まえてのこと。ビジネスモデルが垂直統合型から水平分業型へと変化したことがうかがえる。写真は2018年5月にドコモが会員基盤を軸とした戦略を発表したときのものキャリアもこうした変化を踏まえ、サービスのオープン化を進めてきた。代表的なのは、d払い、au PAY、PayPayなどの決済サービスだが、動画や雑誌などのコンテンツサービスも、他キャリアに開放している。逆に、もともとEコマースや金融などのサービスを中心に提供してきた楽天が、2020年4月に第4のキャリアとして通信事業に本格参入したことも記憶に新しい。約20年かけて通信規格が変わり、それを取り巻くビジネスも様変わりしたというわけだ。
そして、2020年3月には大手キャリア3社が5Gを導入。参入直後の楽天モバイルはやや後れを取ったが、半年後の9月に5Gを商用化した。4G以上の超高速・大容量や低遅延、多端末接続が実現するのが5Gの特徴。3GからLTEになったときのように、変調方式が変わったわけではないが、より高い周波数帯が使えるようになった他、SA(スタンドアロン)方式では、コアネットワーク自体も5G専用のものに置き換わり、MEC(マルチアクセス・エッジ・コンピューティング)やネットワークスライシングなどが利用可能になる予定だ。
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