ITmedia Mobile 20周年特集

iモード全盛期からスマホアプリまで 20年のモバイルコンテンツと文化を振り返るITmedia Mobile 20周年特別企画(2/3 ページ)

» 2021年04月30日 06時00分 公開
[佐野正弘ITmedia]

SNSやUGCなどが人気となる一方、さまざまな議論も

 だが2006年頃を境に、モバイルコンテンツの進化の方向性が大きく変わってくる。そのきっかけは、PCで人気となっていたSNSがモバイルの世界に入ってきたことで、この頃からディー・エヌ・エーの「モバゲータウン」(現・Mobage)や、PCからモバイル向けへと事業を大きくシフトしたグリーの「GREE」などが若い世代に爆発的人気となったのである。

GREE 当初PC向けのSNSとしてスタートした「GREE」だが、2006年にKDDIから出資を受け、同年11月にau向けの「EZ GREE」を提供開始。以後事業主体をモバイルへと急速にシフトしていくことになる。写真はKDDIコンテンツメディア事業本部長の高橋誠氏(当時)とグリーの田中良和社長

 これを機として携帯電話でも、利用者同士のコミュニケーションを重視したサービスの利用が急拡大。当時楽天が提供していた「前略プロフィール」(ザッパラスへの譲渡後、2016年にサービス終了)などが若い世代から絶大な人気を得ることとなった。

 また、「魔法のiらんど」(現在はKADOKAWAが運営)などのUGC(ユーザー生成コンテンツ)系サービスがモバイルで注目されたのもこの頃。それらのサービスから「恋空」「赤い糸」などいわゆる「ケータイ小説」の人気作が生まれ、映像化されるなどして一大ブームをもたらしたが、一方で従来の小説の概念とは大きく異なる内容や表現などを巡り、大論争が巻き起こったこともある。

魔法のiらんど ケータイ小説ブームの火付け役の1つ「魔法のiらんど」は、2010年にアスキー・メディアワークス(現・KADOKAWA)に買収されたが、その後も小説主体のUGCサービスとして継続。現在も継続的に小説などのコンテストを実施しているようだ

 だが当時、モバイルコンテンツは未成年の利用が多くを占めていたため、モバイル向けのSNSなどで犯罪やトラブルに巻き込まれるケースも起きていた。そこで親世代から、携帯電話でインターネットを使わせること自体が「悪いこと」という認識を持たれるようになり、それが2008年のいわゆる「青少年ネット規制法」(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律)の制定、そしてフィルタリングの義務化などへとつながることとなる。

 この頃はまだモバイルでのインターネットを積極的に利用する層が若い世代に限定され、大人世代からの理解があまり得られていなかった。それに加えて大人の男女が出会う、いわゆる「出会い系サイト」が社会的に良い印象を持たれていなかったことも、厳しい目が注がれる背景にあったといえる。

 子どもとインターネットとの関わり方は現在も大きな社会課題ではあるが、現在では老若男女問わずモバイルでのインターネット利用が当たり前になるなど、社会環境は大きく変わっている(「マッチングアプリ」で大人が出会いを求めことが一般的になる時代が来るとは、当時筆者は想像もできなかった)。それゆえ、未成年へのインターネットに関するリテラシー教育も、「禁止」から「付き合い方を考える」方向へとシフトしているようだ。

スマートフォンのパラダイムシフトで人気サービスも激変

 だがそれ以上に劇的なパラダイムシフトが起きたのが2008年。日本でAppleの「iPhone 3G」が投入され、フィーチャーフォンからスマートフォンへのシフトが急速に進んだことである。

 スマートフォンシフトに伴って大きく変化したのが、1つにプラットフォームの運営主体がAppleやGoogleなど海外の事業者に移ったこと。そしてもう1つは、ユーザーがコンテンツに触れる接点がWebから、「App Store」「Android Market(現Google Play)」などのアプリストアに変わったことである。

 このことが、それまで栄華を誇ってきた着うたフルなど、従来型のモバイルコンテンツの多くに対し、市場崩壊ともいうべき大ダメージを与えることとなった。一方で、スマートフォンの登場によって利用が急拡大したサービスもいくつかあり、その1つがリアルタイムなコミュニケーションができるメッセンジャーアプリである。

 実際、日本では2011年、NHN Japan(現・LINE)のメッセンジャーアプリ「LINE」がテレビCMをいち早く展開したことや、表現力の高い「スタンプ」の採用などによって人気を獲得。その後「カカオトーク」(カカオジャパン)や「comm」(ディー・エヌ・エー、2015年にサービス終了)などとの競争を勝ち抜いて、国内では事実上、スマートフォンのコミュニケーションの標準としてのポジションを獲得するに至った。

LINE LINEは2011年にサービスを開始して以降、国内だけでなく台湾やタイなどでも利用者を急拡大。その顧客基盤を活用したビジネスを推し進めるようになった

 そしてもう1つはゲームだ。アプリによって高い表現力のゲームを提供できるようになり、コンシューマーゲームに匹敵する内容のゲームが増えたたことで市場が急拡大したのである。中でもガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ」は社会的現象をもたらす大ヒットを記録した他、SNSビジネスに陰りが出ていたミクシィが、2013年に提供開始した「モンスターストライク」の大ヒットで息を吹き返したことは、多くの人に驚きをもたらした。

モンスト スマートフォンゲームとして爆発的人気を獲得した「モンスターストライク」。2015年に実施したイベントで熱中症患者が続出する騒ぎが起きたことも、モンスト人気の高さを物語っている

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