「OCN モバイル ONE」新料金プランの狙いを聞く ドコモとの連携はどうなる?MVNOに聞く(2/3 ページ)

» 2021年05月25日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

価格と品質のバランスを崩さないよう設定した

―― “ahamoショック”はグループにも直撃していた、ということですね。今回の料金プランは、他のMVNOと比較しても十分戦える水準になっていると思いますが、競合はどの程度意識したのでしょうか。

木藤氏 各社とも容量がバラけてしまったので、横並びで比較するのが難しくなってしまいましたが、改正事業法の対象になる主要なMVNOは参考にしつつ設定しました。OCN モバイル ONEは2年前に新料金を出し、当時は業界最安水準でした。品質も以前に比べ改善したという声をいただいていますし、第三者機関からも評価されています。確かにnuroモバイルなど、価格がさらに安いところはありますが、そのバランスを崩さない形だったらというところで、今回の設定になっています。

―― 通信品質に関しては、どの程度を目指しているのでしょうか。

木藤氏 昼前に関しても、ほとんどパケロス(パケットロス)が発生しないよう、品質を維持しています。夕方以降もパケロスが起きないよう、帯域設計をしています。

―― 逆に、もう少し値上げして品質を向上させるというお考えはなかったのでしょうか。ドコモ側から見たとき、UQ mobileやY!mobileに対抗するブランドがないため、OCN モバイル ONEがその役割を担うこともできたと思います。

木藤氏 コスト構造を考えると、今の段階では最低限、MVNOの競合他社と比較したときに見劣りしないことが第一条件でした。あくまでMVNOという立場の中で、今後さらにシェアを取るために出したものです。

―― 容量は据え置きになっていますが、ユーザーのデータ利用量は年々増えています。現状だと足りないという声はなかったのでしょうか。

木藤氏 お客さまからは、3GBを4GBにしてほしいという声がありませんでした。コース変更は毎月できるので、そういった方は1回6GBに切り替えてから、3GBに戻しています。余った容量は翌月に繰り越せるので、うまく使っているのだと思います。実際、OCN モバイル ONEの平均データ容量を見ても、3GBには達していません。比較的ライトな方に使っていただいているのだと思います。ただし、年々データ容量が増えていることは確かなので、足りなくなるようであれば見直したいと思います。

OCNでんわの強みを生かして“プレフィックス自動付与”を実現

―― 中止になってしまった発表会の案内には、「+α」という記載がありました。「+d」なのではないかという臆測もありましたが、あれは延期になって今回は導入されていないのか、あるいは今回導入した何かを指していたのかを教えてください。

OCN モバイル ONE 発表前には「+α」があることを予告していた

木藤氏 プレフィックス自動付与のことを指しているつもりでした。

―― やはり、アプリでのOCNでんわには限界があったのでしょうか。

見原氏 アプリを使い損ねてしまい、通話料が思ったよりも高くなってしまったという相談はたびたびいただいていました。アプリかどうかを気にせず、電話するだけで通話料が安くなるのはアピール材料になります。それと同時に、(音声通話の基本料の)月額料金を値下げすることもできます。

OCN モバイル ONE NTTレゾナントの見原隆介氏(写真提供:NTTレゾナント)

木藤氏 もともとOCN モバイル ONEには、10分、トップ3、ダブル(10分かけ放題とトップ3かけ放題の2つが適用されるサービス)という3つのオプションがありましたが、ダブルが伝わりづらかった。一方で、日本通信や楽天モバイルが完全かけ放題を提供していることもあり、お客さまの声として、アプリなしの発信でかけ放題を使いたいという声がありました。

OCN モバイル ONE かけ放題オプションが充実しているOCN モバイル ONE。4月7日以降は、専用アプリを使わずにかけ放題となる

―― 音声定額を提供できているのは、NTTコミュニケーションズが自身で中継電話サービスを手掛けているからこそという側面があるのでしょうか。

木藤氏 日本通信とドコモの総務大臣裁定はウォッチしていましたが、その中で、代替案として接続方式を検討するという話がありました。自社の強みとして、中継電話サービスのOCNでんわがあったので、卸価格の値下げを狙うのか、接続をするのかは悩んだところです。ただ、コストがどのぐらい下がるかが見えない部分もあったので、やはりもともと持っていて、自社の裁量が多いOCNでんわの強みを生かした方がいいということで、OCNでんわを活用することになりました。

―― 完全定額のニーズは、どの程度あるのでしょうか。

木藤氏 具体的な数字はお答えしづらいですが、かけ放題ダブルのときとサービススペックは近い一方で、申し込んでいる人はかなり増えています。全体としては10分かけ放題を選ばれる方が多いのですが、それを使っていた方の一部も完全かけ放題に移っています。

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