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楽天モバイルがプラチナバンドの再割当を希望――3キャリアの抵抗は必至。コストとスケジュールは現実的か石川温のスマホ業界新聞

» 2021年05月28日 10時00分 公開
[石川温]
「石川温のスマホ業界新聞」

 総務省で、電波の再割当について議論が進んでいる。そのなかでも注目は楽天モバイルへのプラチナバンド割当だ。4Gに関しては、1.7GHzしか持っていない楽天モバイル。SNSを見てみると「楽天ペイで決済しようとしたけど圏外だったので困った」なんて話が良く出ている。KDDIローミングを終了した地域での圏外情報も多く、ネットワーク品質においては当面、厳しい状態が続きそうだ。

この記事について

この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2021年5月22日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。


 楽天モバイルからの主張は「3キャリアでまもなく3Gサービスが終了する。その周波数帯を再割当してくれないか」というものだ。3キャリアからそれぞれ少しずつ返してもらうことで、15MHz×2の割当が可能になるという。

 そもそも、業界関係者とすれば「楽天モバイルが新規参入で名乗りを上げたときにプラチナバンドを割当てもらえるように声を上げるべきだったのではないか」という意見もある。1.7GHzのみで新規参入をするのは誰が見ても不利なのは明らかだ。

 昨年1月、楽天モバイル恵比寿店のオープンイベントで山田善久社長に「総務省にプラチナバンドを割り当ててもらえるよう、交渉したりしないんですか」という質問をしたのだが、そのとき、山田社長は「1.7GHz帯は結構繋がると思っている。今後、そうしたバンドがあれば、そういうことはあるだろうが、現状、なかなか簡単には出てこない。今の周波数を前提にネットワークを構築したい」と語っていた。

 つまり、総務省が楽天モバイルに競争力をつけさせるため、むりやりプラチナバンドをこじ開ける機運が出てきたため、名乗りを上げたというわけだ。

 3Gサービスが終了する絶好のタイミングであるため、このまま再割当は進んでいくのではないか。

 ただ、3キャリア、特にソフトバンクからは「MCAの部分を再割り当てすればいいのではないか。3GPPで標準化されていないのであれば、3GPPに働きかければいい。うちはそうやってきた」と納得いっていない意見が出されている。

 今後、楽天モバイルに再割り当てされるとしても、楽天モバイルと3キャリアとの交渉となるため、話が円滑に進むよう総務省の支援が必要になるだろう。

 また、楽天モバイルとしては、うまくいけば2023年にもプラチナバンドのサービス提供をもくろんでいるようだが、3キャリアとしても、のらりくらりと時間稼ぎをするのは間違いないだろう。

 また、再割当して、サービスを開始するにはコスト負担も大きくのしかかる。

 再割当の道筋は見えたとしても、楽天モバイルとしてはいかにコストを抑え、さらにできるだけ短時間にサービスを提供できるかがカギとなる。楽天モバイルに残された時間は決して長くはないはずだ。

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