ユーザーの個人情報を不用意に検索できないようになっていることは、先述の通りです。大手キャリアではさらに、店舗に個人情報を残さないための取り組みも進めてきました。その典型例の1つがユーザーが新規契約や機種変更する際の手続き方法の変化です。
かつて、携帯電話販売店では一部を除き複写式の申込書を利用していました。その構成はキャリアによって異なりますが「お客さま控え」「店舗控え」「キャリア提出(FAX送信)用」の3枚構成が主流でした。
手続き者に記入してもらった後、スタッフはキャリア提出用のページと本人確認書類のコピーをFAXで「開通(契約)センター」に送信します。送られてきた内容は開通センターにある手続き用端末に取り込まれ、それを元にセンターのスタッフが契約手続きを進めます。
複写式の申込書でも、個人情報を極力店舗に残さない工夫はなされていました。例えば、店舗控えには手続き者や契約者の氏名、契約者の生年月日や各種暗証番号といったクリティカルな個人情報は転写されません。契約者の携帯電話番号も、末尾の4〜6桁しか転写されません。さらに、申込書は店舗控えのページだけを残して、本人確認書類のコピーと共に手続き者に渡すようになっています。
ただそれでも、申し込み者の筆圧が強ければ、店舗控えから筆跡を読み取れてしまう可能性はあります。簡単に目視できないように複写されない部分には特殊な模様が施されていますが、筆圧でへこんだ部分を頼りに読み取れてしまうことには変わりありません。
悪意を持ったスタッフが情報を“盗み取る”ことは、比較的容易だったのです。
そこで大手キャリアは、複写式申込書の利用を全ての販売店で原則として撤廃しました。現在、新規契約や機種変更の手続きを行う場合は、以下のいずれかの方法で契約者情報を入力しています。
【手続き者用タブレット端末を配備している店舗】
【手続き者用タブレット端末を配備していない店舗(主にキャリアショップ)】
【手続き者用タブレット端末を配備していない店舗(主にその他の販売店)】
(※2)キャリアがあらかじめ用意しているパターン、必要に応じて端末から出力するパターンと、店舗が独自に用意しているパターンがあります
いずれのパターンも店頭に個人情報を残さないことを徹底しています。個人情報が残ってしまうと、それだけでリスク(≒個人情報にまつわる事故)につながるという発想です。
一方で、契約者本人、あるいは契約者の正当な代理人が同意して手続きを行ったという“証跡”を残すことも重要です。そこで、店頭での手続き時には、契約者(または代理人)本人が手続きに同意したという事実を残すために、直筆の署名(サイン)を取ります。
署名が必要なのは、複写式の申込書を原則として使わなくなった今でも同様です。ただし、手続き方法の変化に合わせて、署名の取り方も以下のように変わっています。
手続き者用のタブレット端末を配備している店舗では、手続き者が希望すれば“完全ペーパーレス”で手続きを進められます。この場合、申込書の控えは契約者用WebサイトからPDF形式でダウンロードできます。ただし、ダウンロードには有効期限があるので、早めにダウンロードすることを強くお勧めします。
一方で「申込書は物理的に残したい!」という人もいると思います。その場合は、スタッフに申し出れば印刷されたお客さま控えがもらえます。遠慮せずに頼んでください。
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