Googleが考えるプライバシーの在り方 「広告にはユーザーデータを使わない」(1/3 ページ)

» 2021年06月30日 12時12分 公開
[石井徹ITmedia]

 Google Japanは6月23日、プライバシー保護の取り組みに関するオンライン記者説明会を実施した。

 Web検索やマップ、カレンダーなどさまざまなWebサービスを展開するGoogle。同意を得た上でユーザーの情報を収集、分析し、サービスに活用している。同社にはプライバシー保護を担当するチームが数百人規模で存在している。今回プレゼンテーションを行ったGreg Fair氏もそのチームの一員だ。

Google Google本社からオンラインで出席したGreg Fair氏(Google Product Manager,Privacy and Data Protection)

 Googleはプライバシー保護の基本方針を以下のように定めている。この方針はGoogleの全てのサービスで適用される。

  1. サービス設計の段階でプライバシーに配慮する
  2. ユーザー自身でGoogleに共有するデータを管理できるようにする
  3. 世界最高水準のセキュリティを確保する
Google Googleのプライバシー保護に関する基本方針

Googleはどのようにデータを使うのか

 Googleは多くのサービスでユーザー情報を活用しているが、その実態について認識している人は多くはないだろう。Fair氏は実際のサービスを例として、Googleがどのようにユーザー情報を活用しているのかの一端を紹介した。

Google 日常生活でのGoogleサービスとプライバシーの関わりが具体例を交えて紹介された

 例えばGoogle マップには、混雑している道路や、電車内の混み具合を表示する機能がある。これはユーザーの位置情報をもとにGoogleが交通状況を解析しているという。その際、ユーザーの位置情報データは匿名化を施し、どのユーザーの移動履歴なのかを特定できない形に加工した上で処理される。

Google Google マップではユーザーの位置情報を匿名化して混雑情報を提供している

 また、Google マップではユーザーが滞在した場所を記録するロケーション履歴という機能が存在する。これはユーザー自身がサービスに同意した時点で初めて有効となる(オプトイン)方式となっている。

 Gmailはメールボックスに広告が表示されるが、これはメールの内容とは関係ないものとなっている。Googleはユーザーのパーソナルデータのうち、特に機微な情報は広告では使わないというポリシーを定めている。GmailのメールやGoogle ドライブのデータ、Google フォトの写真の内容は広告表示には用いないとしている。また、ユーザーの人種や性指向といった情報も広告表示では利用しない方針だ。

Google ユーザーの機微な情報は広告表示に利用しないとしている

 Google 検索では多少の入力ミスをしても、正しい検索結果が表示される。この検索結果のオートコンプリート機能は、過去に同じような検索ミスをした人の情報をもとに作られている。

Googleは盗み聞きしない

 Googleの収益源の大部分はオンライン広告だ。Google 検索やGmailのような無料サービスは、ユーザーがクリックした広告について、Googleは広告収入を得る。また、Webサイト上のAdSense広告では、広告収入がGoogleとWebサイトの運営者で分け合う仕組みとなっている。

 一方でGoogleは、広告について以下のようなプライバシー保護ポリシーを定めている。

  • 広告のために利用者の個人情報を販売しません
  • 広告のパーソナライズのために機微は利用しません
  • 利用者に代わってプライバシーを守ります
Google Googleの広告ポリシー

 例えば、Google 検索には検索結果の上部に広告も表示されるが、必ず「広告」と識別できる表示がされているこの広告表示においては、ユーザーの機微な情報は使用されない。

 ただし、アクセス情報などから得られたユーザーの大まかな現在地や、Googleサービスを利用しているWebサイトの表示履歴などから得られた情報については、広告の最適化のために使用されている。

 なお、役に立つと判断された広告が存在しない場合、広告が表示されない場合もあるという。Fair氏は「実は、Google 検索では広告が表示されない場合の方が多い」と明かしている。

Google Google 検索では広告が表示されない方が多いという

 Googleでプライバシー保護のための技術を開発しているFair氏には、うんざりするほど聞かれる質問があるという。それは「Googleは会話を盗み聞きしているのではないか」というものだ。Fair氏は「絶対にしない(absolutely not)」と答えている。

 盗み聞きの懸念を抱く人は、「家族がチョコレートの会話をしたら、Google 検索でチョコレートの広告が表示された」といったような話をするという。Fair氏いわく、こうした状況はありがちなことだが、Googleが会話を盗み聞きした結果ではないという。例えばユーザーがこれまでにチョコレートの通販サイトにアクセスしていたり、チョコレートを買いそうな時間帯にアクセスしたり、たくさんのチョコレート会社が広告を出稿していたりといった事象が重なることで、こうした広告が表示される説明している。

Google 広告の表示はアクセスしたWebサイトやアプリ、時間帯などに基づいている

 Google Nestシリーズなどのスマートスピーカーで使われるGoogle アシスタントは、ライトの点灯状態でそのステータスが表示される。「ねぇ グーグル」と発話ワードを言わない限りは、録音されることはない。

 発話ワードで起動したくない場合、スマートスピーカー本体のスイッチ操作でマイクをオフにできる。

 Google アシスタントを操作した直前の発言をGoogleのサーバから消去したいときは、「ねぇ グーグル、今言ったことを忘れて」と指示すれば消去できる。また、「ねぇ グーグル、ゲストモードにして」と発話すると、Google アシスタントに指示した発言が保存されないゲストモードに入ることも可能だ。

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