MICINの原氏は、今回の協業についての期待として「auユーザー3000万人に上る顧客基盤へのアクセス、オンライン、オフライン問わず構築されたサポート網、KDDIグループが持つ技術」の3つを挙げた。
コロナ禍で医療機関でのオンライン診療の導入は進んできているが、それでも利用は診療全体の1〜2%と見られており、患者側が触れる機会が限られているのが大きな課題だという。KDDIと連携することで、「患者さん側がオンライン診療に触れる接点が増え、実際にオンライン診療を使ってみるという後押しになれば」と原氏は期待を語った。
主にオンライン服薬指導の周辺を受け持つホワイトヘルスケアの池本氏は、「サービスの質と効率性の改善」を協業の期待として挙げた。
「オンライン服薬指導によって、患者さんの待ち時間は短縮、あるいはほとんどなくなる。薬剤師さんは、『薬が余っていませんか?』『薬の副作用はありませんでしたか?』といったような、今まで店頭ではなかなか提供できなかったアフターフォローも指導と同時に実現できるようになる」(池本氏)
KDDIは今後、オンライン診療、オンライン服薬指導までもauウェルネスに集約していく予定だが、「健康・医療領域はまだまだ範囲が広い」(田口氏)。食事、睡眠、心から暮らし全般まで、auウェルネスでカバーする範囲を拡大していく考えだ。
コロナ禍で健康管理の環境が悪化する中、オンライン診療、オンライン服薬指導の規制緩和も進む。競合他社も同様のサービスを広げている中で、田口氏はKDDIの独自性として2点挙げた。1つは、auウェルネスアプリが日々の運動を促す機能を備えていて、ユーザーが医療体験まで一気通貫で受けられる点。「9月にサービスを開始すると明言しているのは、今のところKDDIだけだと思っている」と同氏。2つ目は、アプリで蓄積されるデータを活用してサービスを広げていこうと考えている点だ。
「保険や健康関連のさまざまなライフデザイン商材も合わせて提供していきながら、ニューノーマル時代のトータルヘルスケアサービスとしてナンバーワンになるというビジョンを掲げ、事業を推進していきたい」(田口氏)
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