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» 2021年07月22日 06時00分 公開

「SIMロック原則禁止」が業界に与える影響 メリットばかりではない理由とは(1/3 ページ)

総務省は現在進めている有識者会議で、SIMロックを原則禁止とする方針を打ち出している。だが、そもそもなぜSIMロックが存在し、なぜ問題視されてきたのか。そしてSIMロックが原則禁止となることで、市場にはどのような影響が出ると考えられるだろうか。

[佐野正弘,ITmedia]

 総務省は現在進めている有識者会議で、SIMロックを原則禁止とする方針を打ち出している。だが、そもそもなぜSIMロックが存在し、なぜ問題視されてきたのか。そしてSIMロックが原則禁止となることで、市場にはどのような影響が出ると考えられるだろうか。これまでの経緯を振り返りながら確認していこう。

SIMロック禁止 SIMロックがなければ、1台のスマートフォンでさまざまな回線を利用できるが、メリットばかりではない?

SIMロックと密接な関係にある端末値引き

 特定の通信会社のSIMを挿入したときしか通信ができないよう、端末にロックをかける「SIMロック」。日本ではかつて、SIMロックがかかっていることが一般的だったが、今後SIMロックは原則禁止となる。

 それは総務省の有識者会議「電気通信市場検証会議」の中に設置された「競争ルールの検証に関するWG」の「スイッチング円滑化タスクフォース」での議論の末、その報告書に盛り込まれたもの。このタスクフォースではキャリア(携帯電話事業者)の乗り換えをより円滑にする取り組みに関する議論がなされており、そのテーマの1つとなっていたのが「SIMロック解除の一層の推進」である。

 そして総務省2021年5月28日に公開された同タスクフォースの報告書で、SIMロックは購入者の利便性を損ない、他社への乗り換え、ひいては事業者間競争を阻害する効果を有するとして、キャリアがSIMロックをかけることを原則禁止することが適当と結論付けたのである。

SIMロック禁止 総務省「スイッチング円滑化タスクフォース報告書(概要)」より。SIMロックは事業者乗り換えを妨げ競争を阻害するとして、原則禁止とすることが決定した

 SIMロックはユーザーから見た場合、他社のSIMを挿入しても利用できず、キャリアを変える度に端末を変える必要が出てくることから不便な存在であることは確かだ。にもかかわらず、なぜSIMロックが存在し、キャリアはその解除に難色を示してきたのかというと、その主な理由は端末値引きにある。

 携帯各社はかつて、スマートフォンなどの端末価格を実質0円、1円といった非常に安価な価格で販売して新規契約者を獲得し、毎月の通信料金からその割引分を回収するというビジネスモデルを展開していた。それゆえ、契約してすぐ解約されてしまうと値引き分の原資が回収できなくなってしまう上、割賦を組んで購入した端末の場合、その支払いまでもが踏み倒されてしまうリスクがあることから、SIMロックをかけて他社のSIMで利用できないようにすることにより、リスクを回避していたわけだ。

SIMロック解除は強制せず、各社に委ねていた時代

 だがSIMロック、ひいてはキャリアのビジネスモデルそのものを問題視していたのが総務省だ。実際、SIMロック解除に関する議論は、内閣総理大臣の菅義偉氏が総務大臣だった2007年に実施された総務省の有識者会議「モバイルビジネス研究会」の頃から出ていたものであり、今回の原則禁止という結論に至るまでの約14年間、総務省は大手キャリアにSIMロック解除を要求し続けてきたのである。

 最初の大きな動きとなったのは2010年、総務省が「携帯電話のSIMロックの在り方に関する公開ヒアリング」を実施し、その結果を受けて「SIMロック解除に関するガイドライン」を出したことにある。だがこの頃はまだ3Gが主流でありキャリア間で通信方式が異なるなど、同じ端末を使って他キャリアに乗り換えるには、SIMロック以外にもいくつかのハードルが存在していた。

SIMロック禁止 総務省「携帯電話端末のSIMロックの在り方に関する公開ヒアリング」のKDDI提出資料より。3G時代はキャリア間で通信方式が異なっていたため、SIMロックを解除しただけでは他社のSIMを利用できるとは限らなかった

 そうしたことから、ガイドラインでは、各社の意見をくみ取りSIMロック解除の強制はせず、各社に委ねるという形に落ち着いている。その結果、もともとSIMロック解除に前向きだったイー・モバイル(イー・アクセス、2012年にソフトバンクが買収)に加え、NTTドコモが2011年にSIMロックを解除できる仕組みを備えた機種を提供するなど前向きな姿勢を見せた一方、ソフトバンクは限定的な対応にとどまり、KDDIは対応を見送るなど、各社の対応には差があった。

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