「SIMロック原則禁止」が業界に与える影響 メリットばかりではない理由とは(2/3 ページ)

» 2021年07月22日 06時00分 公開
[佐野正弘,ITmedia]

2014年を境に強硬な姿勢に出た総務省

 それが一転して、総務省がSIMロック解除に強硬な姿勢を取るようになったのは2014年のこと。同年に実施された有識者会議「ICTサービス安心・安全研究会」内の「消費者保護ルールの見直し・充実に関するWG」での議論を受け、同年にSIMロック解除に関するガイドラインが改訂されSIMロック解除が義務化、つまり一定のルールに基づき、利用者から申し出があった場合はSIMロック解除に応じることが求められたのである。

 なぜ総務省が急に強い措置を打ち出すに至ったのかというと、4Gへと移行し通信方式の統一が進んだこと、イー・アクセスやウィルコムがソフトバンクの傘下となり寡占が進んだことも大きいが、より大きな影響を与えたのは、その時期まで過熱していたキャリア間の顧客争奪戦であろう。

 実際、2014年春頃まで、各キャリアは他社から顧客を奪うべく、番号ポータビリティで他社から乗り換えた顧客に対して最新スマートフォンを0円で販売するどころか、数万円、条件によっては10万円を超えるキャッシュバックを提供するなど、度を超えた端末値引き合戦を繰り広げていた。その一方で、総務省が求めるSIMロック解除や、いわゆる“2年縛り”の緩和などには消極的な姿勢を取り続けていた。

 そうしたキャリアの姿勢に業を煮やした総務省は、この義務化を皮切りとして、SIMロックに関して強硬策を相次いで打ち出していくこととなる。2016年の「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」の議論を受け、SIM端末分割払いの際にSIMロックを解除できるまでの期間が180日から100日に短縮された他、2018年の「モバイル市場の公正競争促進に関する検討会」では中古端末のSIMロック解除も義務付けられている。

SIMロック禁止 総務省「スイッチング円滑化タスクフォース(第1回)」資料より。2014年のSIMロック解除義務化以降、総務省の措置には「義務」という言葉が目立ち、厳しい措置を取るようになったことが分かる

 そして極め付きとなったのは、2018年から2020年にかけて実施された「モバイル市場の競争環境に関する研究会」だ。先にも触れた通り、キャリアがSIMロックをかける根拠は通信料を原資とした端末の値引きにあったのだが、この研究会の議論で総務省はその端末値引きのスキーム自体を禁止し、2019年の電気通信事業法改正によっていわゆる“通信と端末の分離”を義務化。SIMロックの根拠そのものを禁止することで、その後のSIMロック原則禁止の実現へとつなげていったわけだ。

SIMロック禁止 総務省「電気通信事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等の整備について」より。2019年の法改正でSIMロックの根拠になっていた、通信契約の継続を前提とした端末値引き自体が禁止されることとなった

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