FeliCa対応の超小型スマホ「Jelly 2」を試す 文字入力やバッテリーの持ちはどう?(3/3 ページ)

» 2021年08月23日 12時00分 公開
[長浜和也ITmedia]
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“極狭”ディスプレイで使い勝手は大丈夫?

 Jelly 2のディスプレイサイズは3型と小さいため、入力操作が不安という意見も多い。筆者も以前使っていたAtomでは小さな画面に表示されるソフトウェアキーボードには大変苦労した記憶があったので、Jelly 2に対しても「結局使えないだろうなー」という印象を持っていた(実をいうと、それがゆえにクラウドファンディングのキャンペーンに参加しなかった)。

 しかし、Jelly 2の3型ディスプレイに表示されるQWERTYキーボードを実際に使ってみると、思っていた以上に“狙ったキー”をタップできる。むろん、TitanのハードウェアQWERTYキーボードのように「長文入力でもほぼノーミス」とはいかないが、それでも、5型級ディスプレイに表示されるソフトウェアキーボードとそれほど変わらない精度で使える。少なくともAtomと比べて明らかに快適だ。

Jelly 2 Atomと並べてみる。左がJelly 2、右がAtomだ。搭載するディスプレイはAtomが2.4型の240×432ピクセル、Jelly 2が3型で480×854ピクセル。この違いがソフトウェアキーボードの使い勝手に影響する
Jelly 2 ソフトウェアQWERTYキーボードを比較するとJelly 2は1キー当たりの表示面積が広い
Jelly 2 1つのキートップ当たり約3(幅)×4(高さ)mmほどのエリアを確保している
Jelly 2 そのおかげか、QWERTYレイアウトでも使い勝手はAtomから大幅に改善している

 本体の小型化で意外と注意しなければならないのが「メインカメラのレンズ位置」だ。Jelly 2のサイズが手を握るのにちょうどいいサイズであるがため、本体を握ってしっかり保持しようとすると、人差し指がカメラのレンズにかかりやすい。この状態を避けるには、本体を持つときに右手は人差し指を音量調節ボタンの下3分の1より下に、左手は人差し指をショートカットボタンから下に置く必要がある。

身の丈に合った処理能力

 小さくずんぐりむっくりな見た目だが、プロセッサはTitanと同じMediaTekの「Helio P60」(動作クロック2GHz)を搭載する。実はこれ以外のスペックでもTitanと共通する項目が多い。

Jelly 2本体スペック

  • プロセッサ:Helio P60(動作クロック2GHz)
  • システムメモリ:6GB
  • ストレージ:128GB
  • ディスプレイ(解像度):3型(480×854ピクセル)
  • 無線LAN:802.11a/b/g/n/ac
  • Bluetooth:4.2
  • カメラ:アウト1600万画素、イン800万画素
  • NFC:対応(日本向けモデルのみFeliCa対応)
  • LTE Band:1/2/3/4/5/7 /8/12/13/17/18/19/20/25/26/28A/28B/66
  • OS:Android 10
  • バッテリー容量:2000mAh(4V)
  • USB:Type-C
  • SIM:デュアルnanoSIMスロット(1基はmicroSDスロット兼用)
  • 本体サイズ:49(幅)×95(高さ)×17(厚さ)mm
  • 重量:110g(標準付属ケース装着時で120g)

 Helio P60は2018年2月に台湾MediaTekがミドルレンジデバイス向けに開発した12nmプロセス採用モデルだ。物理コアは8基だが、CPUの電力効率を上げる「big.LITTLE」構成に対応したアーキテクチャで、4基は処理能力を優先したCorte-A73、後の4基は省電力を優先するCortex-A53を組み合わせている。なお、GPUは2017年にARMが投入した「Mali-G72 MP3」を採用する。

Jelly 2Jelly 2 CPU-Zで確認した搭載プロセッサのスペック。Helio P60は2018年に登場した3年前のミドルレンジモデル(画像=左)。AnTuTu Benchmark V9.0.12による測定スコア(画像=右)

Jelly 2Jelly 2 AnTuTu Benchmark V9.0.12のCPU詳細スコア(画像=左)、AnTuTu Benchmark V9.0.12のGPU詳細スコア(画像=右)

Jelly 2Jelly 2 AnTuTu Benchmark V9.0.12のMEM詳細スコア(画像=左)、AnTuTu Benchmark V9.0.12のUX詳細スコア(画像=右)

Jelly 2Jelly 2 PCMark for Android WORK 3.0による測定スコア(画像=左)、PCMark for Android WORK 3.0の詳細スコア(画像=右)

 Jelly 2のバッテリー容量は2000mAh(駆動電圧4V)と現役スマートフォンの3000〜4000mAhと比べると少ない。しかし、メインのスマートフォンを他に用意してJelly 2を決済用端末として運用する場合、使用中のバッテリー消費は少なく抑えることができる。今回の評価作業においては、決済端末としての役割に加えてデータ専用SIMを差した状態でテザリングによるモバイルルーターとしても持ち歩いて運用していたが、それでも朝満充電状態で持ち出して夜就寝するまでにバッテリーは60%台残っているのが常だった。ざっくりとした感触では「1泊2日の無補給運用」でも十分に耐えられるだろう。

Jelly 2 SIMスロットはデュアルSIMに対応する。1枚のSIMスロットには排他関係でmicroSDを組み込める

このサイズだから可能になる新しいモバイルデバイス

 CPU、GPUともに“2018年世代”だけに、最新のプロセッサを搭載した2021年発売のスマートフォンと比べるとベンチマークテストのスコアは大きく下回る。ただ、Jelly 2の存在価値を考えるとき、本体の処理能力は副次的なものだ。

 Jelly 2の存在意義は、手のひらにぎゅっと握れる超小型スマートフォンでありながら、FeliCa対応の電子決済ができること。これに尽きる。Jelly 2を電子決済専用端末として所持する意義は十分にあると感じた。

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