Jelly 2のディスプレイサイズは3型と小さいため、入力操作が不安という意見も多い。筆者も以前使っていたAtomでは小さな画面に表示されるソフトウェアキーボードには大変苦労した記憶があったので、Jelly 2に対しても「結局使えないだろうなー」という印象を持っていた(実をいうと、それがゆえにクラウドファンディングのキャンペーンに参加しなかった)。
しかし、Jelly 2の3型ディスプレイに表示されるQWERTYキーボードを実際に使ってみると、思っていた以上に“狙ったキー”をタップできる。むろん、TitanのハードウェアQWERTYキーボードのように「長文入力でもほぼノーミス」とはいかないが、それでも、5型級ディスプレイに表示されるソフトウェアキーボードとそれほど変わらない精度で使える。少なくともAtomと比べて明らかに快適だ。
本体の小型化で意外と注意しなければならないのが「メインカメラのレンズ位置」だ。Jelly 2のサイズが手を握るのにちょうどいいサイズであるがため、本体を握ってしっかり保持しようとすると、人差し指がカメラのレンズにかかりやすい。この状態を避けるには、本体を持つときに右手は人差し指を音量調節ボタンの下3分の1より下に、左手は人差し指をショートカットボタンから下に置く必要がある。
小さくずんぐりむっくりな見た目だが、プロセッサはTitanと同じMediaTekの「Helio P60」(動作クロック2GHz)を搭載する。実はこれ以外のスペックでもTitanと共通する項目が多い。
Jelly 2本体スペック
Helio P60は2018年2月に台湾MediaTekがミドルレンジデバイス向けに開発した12nmプロセス採用モデルだ。物理コアは8基だが、CPUの電力効率を上げる「big.LITTLE」構成に対応したアーキテクチャで、4基は処理能力を優先したCorte-A73、後の4基は省電力を優先するCortex-A53を組み合わせている。なお、GPUは2017年にARMが投入した「Mali-G72 MP3」を採用する。
Jelly 2のバッテリー容量は2000mAh(駆動電圧4V)と現役スマートフォンの3000〜4000mAhと比べると少ない。しかし、メインのスマートフォンを他に用意してJelly 2を決済用端末として運用する場合、使用中のバッテリー消費は少なく抑えることができる。今回の評価作業においては、決済端末としての役割に加えてデータ専用SIMを差した状態でテザリングによるモバイルルーターとしても持ち歩いて運用していたが、それでも朝満充電状態で持ち出して夜就寝するまでにバッテリーは60%台残っているのが常だった。ざっくりとした感触では「1泊2日の無補給運用」でも十分に耐えられるだろう。
CPU、GPUともに“2018年世代”だけに、最新のプロセッサを搭載した2021年発売のスマートフォンと比べるとベンチマークテストのスコアは大きく下回る。ただ、Jelly 2の存在価値を考えるとき、本体の処理能力は副次的なものだ。
Jelly 2の存在意義は、手のひらにぎゅっと握れる超小型スマートフォンでありながら、FeliCa対応の電子決済ができること。これに尽きる。Jelly 2を電子決済専用端末として所持する意義は十分にあると感じた。
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