超小型にこだわってスマートフォンを開発し続けてきた中国メーカーのUnihertz(ユニハーツ)。2017年にクラウドファンディングの「Kickstarter」で発表した初代の「Jelly」は日本でも話題を集め、後継機も発売された。そんなUnihertzが2月に予約販売を開始したのが、おサイフケータイに対応した「Jelly 2」だ。同モデルは、3型のディスプレイを採用した小型モデルで、重さはわずか110g。手のひらサイズのコンパクトさだが、背面のカメラは1600万画素で、内蔵ストレージも128GBとスマートフォンとして十分な機能を備える。
単に端末を投入しただけにとどまらず、Jelly 2は販路も大きく広げた。「BlackBerry」シリーズや「Palm Phone」などの販売代理店として有名なFOXと提携し、同社のストアや大手家電量販店での販売をスタート。さらには、BIGLOBEモバイルやOCN モバイル ONE(goo Simseller)といったMVNOまで、Jelly 2の取り扱いを開始し、徐々にその知名度を上げている。
では、なぜUnihertzはおサイフケータイに対応するほど日本市場に注力しているのか。UnihertzのCEO、ステファン・スー氏 と、Jelly 2の販売代理店を務めるFOXの五十畑理央社長の2人にJelly 2を企画、開発した経緯や、日本に投入する理由を聞いた。
―― Unihertzは、小型の端末に特化したメーカーですが、なぜコンパクトなものを作ろうと思ったのでしょうか。
スー氏 メインで作る端末はユニークなものにしたかったからです。普通の大きなスマホとは違いを出せるようにしたい。そう考え、最初に作ったのが超小型端末でした。
―― Jellyは初代から日本で販売されていますが、なぜ日本市場に投入しようと思ったのでしょうか。
スー氏 2017年に初代Jellyがクラウドファンディングで公開されたときから、日本のユーザーがかなり多かったからです。数で言えば米国の次が日本でした。売り上げもよく、そこで日本のユーザーは小型のスマホに強い興味を持っていることに気付きました。Jelly 2もそうですが、日本でやっていこうと思ったのはそのためです。Jellyを開発する前は、このような反響になることは全く想定していませんでした。
―― 現状、Unihertzの端末はどのマーケットで販売されていて、それぞれの割合はどの程度なのでしょうか。
スー氏 販売数が大きいのは日本、米国、欧州です。その他でも販売はしていますが、この3つが最も重要なマーケットです。中でも日本は、全数量の約半数を占めている大きなマーケットです。
―― Jelly 2におサイフケータイを搭載した理由を教えてください。
スー氏 小型タフネススマホの「Atom」を出したときに、日本のユーザーから小型機にもFeliCaを搭載してほしいという声が多く寄せられたからです。2019年に日本でユーザーと直接コミュニケーションを取った際にも、強く希望していました。決済や交通が便利になるからです。こうした声を検討し、FeliCaネットワークスやソニーとも連携を取りながら、搭載をしました。最終的に、Atomには搭載できませんでしたが、Jelly 2でFeliCaを実現することができました。
―― 搭載にあたって難しかったポイントはありましたか。
スー氏 小型機の開発は、通常のスマホよりもサイズが小さいがゆえに、さまざまなパーツを組み込むのが大変になります。サイズが小さいからといって、4GやWi-Fiを削るわけにはいかないので、とてもハードルが高い仕事です。また、スクリーンサイズが小さいので、サードパーティーアプリにバグが出てしまうこともあります。たくさんのアプリで調整したのが、一番のハードルでした。
―― 日本の市場規模で、FeliCaを搭載するコストは見合うのでしょうか。
スー氏 はい。開発にかかるコストと、それによって得られる利益は分析した上で搭載に値すると判断しています。
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