中国メーカーのUnihertzが、なぜFeliCa対応の超小型スマホを投入したのか?(3/3 ページ)

» 2021年09月02日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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3回の追加オーダー全てが予約品で完売

―― 実際に販売を開始してみて、Jelly 2の反響はいかがでしたか。

五十畑氏 すごく反響が大きく、3回ほど追加オーダーを入れていますが、全て予約品で完売している状況です。少しずつ入ってくるので、その都度入れてオーダーいただいた数を収められている状況です。

―― Unihertzは新しいもの好きをターゲットにしているようですが、どういう方が買われているのでしょうか。

五十畑氏 やはりガジェット好きが多いですね。私も含めてですが(笑)。Suicaも使えますし、その他の電子マネーも全て載るので、お財布代わりに使うニーズはあると思います。小さいので、ポケットにこれだけ入れてコンビニに行くのにちょうどいい端末だと思います。

―― 確かに、Jelly 2をサブ端末として1台持っていれば、メインの端末がおサイフケータイ非対応でもよくなりそうですね。

五十畑氏 通信料もだいぶ安くなりましたから、2台持ちには最適だと思います。いざというときにはWi-Fiルーターとしても使えて、バッテリーもまあまあ大きいので、タブレットと持つにもいい端末です。

―― 価格も安いので、2台目として買いやすいと思いました。

五十畑氏 うちとしてはもうちょっと高く売りたい商品でしたが(笑)、メーカーの考え方もあり、市場を考え、こういう値段にしています(FOXのオンラインストアで税込み2万4999円)。Palm Phoneはブランドもあって、ある程度高く売れたところがありますらからね。

Jelly 2 2万円台という安価な価格で入手できるのも魅力だ

Unihertzは頑固な職人のような集団

―― そもそも、Unihertzとはどういうふうに出会ったのでしょうか。

五十畑氏 うちのMD(商品企画)が見つけて、「これいいね」という話になりました。その後、直接メッセージを送ったところ返事があり、即日ミーティングが開かれ、今に至ります。

―― 即日ですか(笑)。

五十畑氏 ただ、初めは説明書もめちゃくちゃだったので、その辺から直していきました。Unihertzには、「このままだとパチモノと思われて終わってしまいますよ」というお話をしてきました。Unihertzは頑固な職人のような集団で、売ることにあまり慣れていない印象でしたが、開発に集中しているからこそ成果が出せているのだと思います。

―― Jelly 2は、開発時点からアドバイスしていたのでしょうか。

五十畑氏 その前のAtomのときからになります。アドバイスしても、頑固なので聞いていないふりをしているのですが(笑)。Atomは多少の販売を行い、カスタマーサポートを受けるのがメインでした。Unihertzとの関係で言えば、かれこれ3年ぐらいのお付き合いになります。

―― 今後ですが、販路は徐々に広げていくのでしょうか。MVNOは2社ですが、他にも扱いたいところもありそうです。

五十畑氏 ものが足りない中で、すぐに広げるのは難しいので、供給が安定し次第ですね。ただ、どこに割り当てるのかも難しい問題です。

取材を終えて:日本未上陸のメーカーが活躍できるチャンス

 知る人ぞ知る超小型端末のJellyだったが、FOXをパートナーにすることで、その販路を一気に広げた印象がある。もちろん、これは、Jelly 2がおサイフケータイに対応できたからこそだ。クラウドファンディングで日本という市場をつかみ、着実に規模を拡大していることがうかがえる。

 Unihertzに提供したサービスをプラットフォーム化できるのは、FOXにとってのメリットといえる。日本に参入した企業にとって、販路や宣伝、サポートなど、必要なパーツだけを選択できるのは使い勝手がいいUnihertzの成功を受け、日本未上陸のスマートフォンメーカーが活用することも期待できそうだ。

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