ドコモ、au、ソフトバンクの大手3キャリアが合同で提供する「+メッセージ」が、サービスの対象を拡大した。9月2日からは、UQ mobileやpovoに加え、au回線を使うMVNOにも対応。ドコモは9月下旬、ソフトバンクは2022年春に、サブブランドやMVNOへの提供を行う予定だ。対象となるユーザーは、自身でアプリをGoogle PlayやApp Storeからダウンロードすれば利用が可能になる。
「打倒LINE」ともささやかれた+メッセージだが、ユーザー数は7月に2500万を突破。SMSやMMSの進化版として、順調に規模を拡大しているように見える。一方で、対応端末や対応キャリア、サービス面などでは不満点も残る。サブブランドやMVNOへの提供でその1つが解決された格好だが、理想像にはまだ届いていない。ここでは、+メッセージの狙いを改めて振り返りながら、今後の課題を取り上げていく。
+メッセージは、大手3キャリアが2018年5月に開始したサービス。SMSやMMSを拡張したRCS(Rich Communication Service)の仕様にのっとり、アプリ上でメッセージや画像、位置情報などをやりとりできるのが特徴だ。音声回線を使うSMSとは異なり、その立ち位置はいわゆるメッセンジャ―アプリに近く、一度アクティベーションしてしまえばWi-Fi経由でも利用可能。データはあくまでインターネット経由で流れるため、パケット通信料以外の料金もかからない。
ただし、+メッセージのアプリケーションレイヤーは、3キャリアが独自に開発したもの。標準に準拠してはいるが、他社が開発したアプリには対応していない。同じくRCSに準拠した楽天モバイルの「Rakuten Link」ともやりとりはできない。これは、+メッセージとRakuten Linkが相互接続していないためだ。9月1日まではMVNOへの提供もなく、大手3キャリアのユーザーに閉じたコミュニケーションツールになっていた。
とはいえ、大手3キャリアで全体の9割弱のシェアを占めることもあり、サービス開始後は順調にユーザー数を増やしていた。キャリアが販売するAndroidのスマートフォンに、SMSアプリを置き換える形で+メッセージアプリがプリンストールされている影響は大きい。サービス登場後に機種変更したユーザーが、半自動的に+メッセージを利用する形になるからだ。こうした背景もあり、ユーザー数は開始から約1年後の2019年8月に1000万に達した。2020年11月には2000万を超え、7月には2500万を突破している。
機能面も、サービス開始当初から徐々に進化している。2019年には企業アカウントの提供をスタートさせており、キャリア各社はサポートなどにこれを活用。首相官邸や東京海上日動、サカイ引越センターといったアカウントを登録できるようになった。こうした企業アカウントを運用したい法人に向け、「メッセージコネクト」というサービスも用意されている。ユーザーインタフェースも改善された他、徐々にではあるがスタンプも数も増加している。
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