「新料金プランの220円値下げ」や「キャリアの端末販売」の狙いは? イオンモバイルに聞く:MVNOに聞く(1/3 ページ)

» 2021年10月14日 06時00分 公開
[石野純也,ITmedia]

 イオンモバイルは4月に導入した新料金プランを、220円(税込み、以下同)値下げした。値下げが適用されたのは10月1日から。ドコモ回線に関してはオートプレフィックスも導入して、標準の電話アプリ経由での通話が原則として「イオン電話」と同じ扱いになった。料金は30秒11円で、ユーザーにとってはアプリを問わずに半額で通話できることになる。同社によると、値下げの原資はイオンモバイルを支援するMVNEが、ドコモとの契約を音声卸から音声接続に切り替えたのが値下げの理由だという。回線を借りるコストが下がった分を、ユーザーに直接還元した格好だ。

 こうした通信サービスの値下げに加えて、同社は端末販売にも新たな仕組みを導入している。10月1日にSIMロックが原則として禁止になるのを見越した動きで、キャリア端末とイオンモバイルの回線のセット販売を店頭で訴求していくという。イオンが各キャリアの代理店としてショップを運営しているからできた仕組みで、端末の単体販売を利用する。MVNOの多くは独自にメーカー端末を調達して販売しているが、大手キャリアと比べ、ラインアップは限定的だった。キャリアモデルを販売することで、この“穴”を埋めていく方針だ。

 一見すると“奇策”にも思えるイオンモバイルの戦略だが、同社はどのような考えでこのような料金プランや販売手法を採用したのか。イオンリテールの住居余暇本部 アプライアンス商品部 モバイルユニット ユニットリーダーの河野充宏氏、同 イオンモバイル商品マネージャーの井原龍二氏が疑問に答えた。

イオンモバイル 2021年10月1日から、音声プランと音声シェアプランの月額料金を220円値下げし、音声プランは月額803円/0.5GB〜月額6358円/50GBとなった

原価が下がった分、ユーザーに安く提供する

イオンモバイル イオンリテールの住居余暇本部 アプライアンス商品部 モバイルユニット ユニットリーダーの河野充宏氏(2021年4月撮影)

―― 10月から料金を220円値下げします。まず、その背景をうかがっていきたいと思います。

河野氏 9月10日にMVNEとドコモの間での音声通話の仕入れが、「卸」から「接続」に変わりました。その結果として基本料が下がり、MVNEからMVNOへの音声基本料も変更になりました。これを受けて、私どもも料金値下げを発表しています。私どもは4月1日に値下げをしていますが、10月1日からの料金がもともと実現したかった価格です。昨年(2020年)の暮れ前から、ずっとMVNEとは交渉を続けてきましが、ようやく私どもが希望しているところまで卸価格が下がっていきました。

 その(コスト削減による)ため、料金値下げでわれわれの利益が減るということもありません。売り上げは思い切り減ってしまいますが、減収微増益ということになるかと思います。

イオンモバイル 音声卸から接続に変更されたことで、さらなる値下げが可能になった

―― 4月の料金を見比べてみると、MVNEを兼ねているMVNOの方がどちらかというと安い傾向にありました。イオンモバイルの料金は、そこと比べるとわずかですが高かったと思います。これは、大手MVNOが接続に切り替えた後のコスト削減を織り込んで、先取りして値下げしていたということなのでしょうか。

河野氏 恐らく反映していたと思います。逆に、既に織り込んでいるので、卸価格が下がることでさらなる値下げをすることはないと見ています。

井原氏 ちなみに、OCN モバイル ONEは4月の時点で音声接続に変わっていたので、それを反映していと思います。

―― 通信事業者の料金という観点で見ると、一律の値下げは珍しい気がします。ストックで契約者を抱えているため、経営インパクトが大きすぎるということだと思いますが、なぜ御社はできたのでしょうか。

河野氏 確かに、他社のやり方は、既存のユーザーに対する価格は据え置きにしながら、新プランを作ってそこで下げるというものです。一方で私どもは小売業なので、もともとそういった考えはありません。原価が下がった分、お客さまにお安く提供させていただきたいという考えが基本にあります。ですから、特にお手続きをする必要なく一律で値下げしていますし、今後もそうすると思います。

同じ金額を払って上のプランを選ぶユーザーも

―― ただ、値下げがかなり進んでいて、特に低容量のプランはこれ以上下げるのもなかなか厳しいと思います。逆にコストが削減できた分、容量を上乗せするという考え方もあるのではないでしょうか。

河野氏 接続料は年々下がっていきますので、その分はお値下げしたいと考えています。ただ、5Gサービスもあり、通信環境は変わっていきます。お客さまのスマホライフがより快適に、より楽しくなるようなサービスも今後検討していかなければいけないと思っています。

井原氏 補足すると、5Gになれば利用されるデータ容量は結果的に増えていくことになります。速度が上がりますからね。接続料が下がって上の方の料金プランが安くなれば、先々はそちらが主流になるということもあるかと思います。

河野氏 4月1日に料金値下げをしたときには、容量そのままで価格を下げましたが、逆に同じ金額を払い続けてデータ容量を増やすユーザーも結構な数になりました。10月1日の値下げ後も、そういった方が増えるかもしれません。

―― なるほど。上の容量が安くなれば、そちらを選ぶ人が増えるということですね。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月16日 更新
  1. 異例の「iPhone Air」投げ売りはなぜ起きている? 定価29.5万円の1TBモデルが、いま18.4万円で買える3つの理由 (2026年10月15日)
  2. 「iPhone Air」本音レビュー:使って分かった「バッテリーの持ち」と「ケース選び」の悩ましさ (2025年10月10日)
  3. 楽天モバイルのオリジナルAndroid端末にパッチ未提供の脆弱性 対象端末の利用者には機種変更を推奨 (2026年10月14日)
  4. 7型ディスプレイ搭載「Apple HomeView」発表 Siri AIと顔識別で家族全員に「欲しい情報」を届ける (2026年10月13日)
  5. AppleCare+なしで修理費最大27万超の「iPhone Duo」を守るなら? 年間2万も差が出る、スマホ保険を検討してみた (2026年10月15日)
  6. ダイソーで1100円の「GaN USB充電器」は折り畳みプラグで外出用に持ち歩きやすい 45W出力対応でPCでも使える (2026年10月10日)
  7. 「iPhone Duo」のAppleCare+なし修理費用が明らかに 最大27万円超、折りたたみ画面の損傷は18万円超に (2026年10月15日)
  8. スマホの「実質価格」高騰の恐れ、iPhone 18 Proは2倍高く? 総務省の残価設定ルール厳格化は“誰のため”か (2026年10月10日)
  9. 日本未発売の3つ折りスマホからEV、巨大な「欧州風」研究拠点まで――Huawei深セン・東莞拠点を歩く (2026年10月15日)
  10. 「iPhone Duo」登場の裏で「iPhone 18」が発表されなかった理由 変わりゆくラインアップ戦略を読み解く (2026年09月12日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー