4月から料金プランを「さいてきプラン」に改定し、1GBから10GBまでは1GB刻みの細かな設計をしているイオンモバイル。新料金プランはユーザーにどのように受け止められているのか。イオンリテールは6月10日に説明会を開き、住居余暇本部 イオンモバイルユニット イオンモバイル商品マネージャーの井原龍二氏が解説した。
さいてきプランは、従来のプランから1GBを除く全ての容量で値下げし、1GB〜10GBは1GB単位で選べるよう、3GB、5GB、7GB、9GB、10GBを新設にした。改定により、基本料金は平均で約21%値下げとなるため、2021年度は前年比で14.6%の減収を見込むが、データ接続料や音声卸の値下げがあるため、利益は前年比で19.6%増を見込む。ユーザーは料金が安くなり、イオンリテールには増益となることから、「お客さまとの関係はWin-Win」と井原氏。
4月〜5月の契約状況を見ると、新型コロナウイルス(店舗への来店減)の影響で低迷した2020年から140%以上増えていることに加え、2019年と比べても4月は106.7%増、5月は120.9%増と好調に獲得できている。「解約数が減っており大きく純増している」と伊原氏は手応えを話す。
ahamoの登場で「格安プランを選んでも大丈夫なんだと思った」という声が多く挙がったそうで、キャリアの低容量プラン登場はむしろ「プラスに捉えている」と井原氏。一方、楽天モバイルの1年間無料の期限が4月に迫っていたこともあり、2月〜4月は「今までにないくらい解約が増えた」が、それ以降は落ち着いているとのこと。
さいてきプランは、音声プラン、シェア音声プラン、データプランを合わせると合計で55プランにも及ぶ。これだけ多いと、「どれを選んでいいか分からない」という声はないのだろうか。発表直後には「多すぎて選びにくいという指摘はあった」そうだが、「プラン数が多いとは思っていない」と井原氏。2020年12月にユーザーにアンケートを取ったところ、このプランは「シンプルだと評価された」という。「われわれとしては、このプランは複雑だとは思っておらず、むしろ選びやすいと思っている」(井原氏)
テレワークの影響でモバイル通信が減るなど、スマートフォンの利用状況は月によって変わるという人は多いだろう。「その利用実態に合わせて選べることが重要」と井原氏。特に1GBから10GBまでの低容量帯は、1GBの重みが大きいことから、1GB刻みで選べるようにした。
その際に鍵となるのが「データの繰り越し」と「プラン変更」だ。イオンモバイルでは、使い切れなかったデータ容量は翌月に自動で繰り越される。余ったデータ容量を翌月に使い、より安いプランに変更すれば、データを無駄なく使い、かつ節約することもできる。5月に実施したユーザー調査では、この繰り越し機能を魅力と答えた人が52%と最も多かった。さらに、プラン変更を簡単に行えるよう、マイページのトップ画面にプラン変更手続きのリンクを設置した。
4月の契約容量を2020年と比較すると、2GB以下は減っているが、3GB〜10GBはおおむね増えている。また20GBプランも1.4%から5.3%に増えている。20GBプランは月額2398円(税込み)で、同じく20GBのahamoやpovoなどよりも安いことから、比較検討して選んだ人も多いのかもしれない。一方、25GB〜50GBの大容量帯のユーザーは少なく、4月の契約が0%のプランもある。「2016年に、少し奇をてらった形で50GBまで用意したが、一度作ったサービスを下げるのは意味があるとは思えない。また、法人の監視カメラ用途などで使われている」(井原氏)とのこと。
イオンモバイルは、対面で接客できる店舗を全国に構えていることも強みだ。2019年度下期からは有料での店頭サポートを実施しており、初期設定やLINEアカウントなどの設定を代行している。スマホ教室についても「窓口や対応できるスペースは持っている」ものの、現在は新型コロナウイルスの影響で積極的には実施できておらず、マンツーマンのセミナーが多いという。コロナが落ちついたタイミングで、有償で実施することを想定しているそうだ。
端末については、2万円〜2万5000円くらいの低価格帯がメインで、特にシャープ製が売れ筋だという。iPhoneについては「iPhone XS」や「iPhone 8」の未使用品を扱っているが、最新モデルの扱いは難しいようだ。
今後のサービス展開について、音声通話の自動プレフィックス付与、eSIM、5Gは提供の準備を進めているとのこと。5Gについては「年内には提供する」と井原氏。無制限の電話かけ放題は「ニーズを捉えて必要があれば」と述べるにとどめた。データ無制限については、安くすることを求めるユーザーが多いことから、現状では予定していないとのこと。現在は50万強のユーザーを抱えるが、今後の目標については「早期に100万回線を実現させたい」(井原氏)とした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.