総務省は11月1日、NTT(日本電信電話)やNTTグループ各社に対して「公正な競争条件の順守」「電気通信事業法などに基づく規律の順守」といった要請を行った。
今回の要請は、10月12日に公正取引委員会が提出した「携帯電話市場における競争政策上の課題について(令和3年度調査)」と、NTTによるNTTドコモ完全子会社化に関連するものとなっている。総務省が行った要請の概要は以下の通りだ。
公正取引委員会が提出した報告書の内容を踏まえ、NTTグループ各社が電気通信事業法などの規律の順守を徹底することを要請している。特にNTT東日本/NTT西日本(以下「NTT東西」)に対しては、電気通信事業法第30/31条(他の事業者との適正な競争関係の維持、事業者を子会社化する際の他事業者との競争関係の維持)の順守を徹底することを強く要請している。
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)については、新たに「特定関係事業者」として指定されるドコモとの関係について、連携強化が予定されている面でも法律を順守させることを求めている。
事業分離やNTTグループの再編などで求められてきた公正競争条件は、法改正などで精度の調整が図られており、引き続き順守する必要があるとしている。
ドコモはグループ内の事業再編に伴い、NTT Comのネットワーク事業を継承する方針を示している。その際、NTT東西とNTT Comのと間に定められている公正競争条件については、新たにNTT東西とドコモの間でも適用される(順守する必要がある)べきだとしている。
NTT東西とドコモが法律で禁止されている行為を行っていないかを検証するため、毎年度総務省へデータ提出を求める。データの内容は市場環境の変化などで変わるとされているが、今回の要請では以下のデータを提出するように示している。
NTT Comのネットワークがドコモに移管された場合、NTT東西のネットワーク調達で公正な競争が妨げられないかを注視するため、総務省にNTT東西のネットワーク調達に関わる取引状況のうち、県間通信設備の調達状況を報告するよう求める。
ドコモが上場廃止した後でも、ドコモ以外のMNO各社が公表するデータとの比較検証を行うために必要な情報は公開されるように要請している。公正な競争の確保という観点から、ドコモに対して期別の売上高や利益率、ARPU(ユーザー1人あたりの売上高)の公表を求めている。
NTTグループ各社に対し、以下の条項の順守に努めさせる。
今後「IOWN」(Innovative Optical and Wireless Network、次世代のネットワーク構想)などの構築にあたり、その設計上光ファイバーなどの設備単体での提供やさまざまな機能単体での提供も含め、サービスの分離などが不可能とならないようにすることに加え、ネットワークを利用する意思がある他事業者が必要な機器を調達した上で、ネットワークを構築した事業者と同時にサービスを開始できるよう取り組むように求めている。
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