電気通信事業法に基づく「ユニバーサルサービス(基礎的電気通信役務)制度」にかかる番号単価が、2022年1月利用分から改定される。それに伴い、電話番号の割り当てを受けた通信事業者が通信料金に転嫁する「ユニバーサルサービス料」も、同月利用分(2022年2月請求分)から月額2円(税別)に改定されることになった。
電気通信事業法では、NTT東日本(東日本電信電話)とNTT西日本(西日本電信電話)が提供する以下の通信サービスを全国どこでも利用できるように維持すべき「ユニバーサルサービス」と位置付けている。
(※1)総務省が定める基準(市街地は500m四方に1台、それ以外は1km四方に1台)に基づいて設置される公衆電話
このユニバーサルサービスを維持するために、2007年から運用されているのが「ユニバーサルサービス制度」だ。この制度では、一定の条件を満たした電気通信事業者(※2)に対して、割り当てられた番号(※3)の数に応じて「負担金」として拠出する義務を課している。
負担金の算定と、NTT東日本/NTT西日本への交付金の支給は、通信事業者の業界団体であるTCA(電気通信事業者協会)が「支援機関」の指定を受けて行っている。負担金は半年に1度見直されており、
(※3)条件は「総務省から電話番号の割り当てを受けていること」「電気サービスの売上高が10億円を超えていること」の2つ
(※3)NTT東日本やNTT西日本のユニバーサルサービス対象通信サービスと接続できない電話番号(「020」で始まる番号)は対象外となる
ユニバーサルサービスの負担金は、NTT東日本とNTT西日本で個別に算出した電話番号単価を合算した額となる。2021年1〜6月利用分(同年2〜7月請求分)は1番号当たり税別2円(税込み2.2円)とされた(参考リンク、PDF形式)この負担金は事業者負担とする(≒基本料金に含める)こともユーザーに転嫁する(≒基本料金とは別に請求する)ことも認められており、2021年時点では条件を満たす全ての事業者が「ユニバーサルサービス料」としてユーザーに負担を求めている(※4)。
(※4)プリペイド通信サービスでは月額通信サービスとは異なる課金方法を取る(例:プリペイド料金のチャージ時に有効期限分だけまとめて課金)。また「月額0円から」の通信サービスでは、課金が発生しなかった月はユーザーへの請求を行わない(=事業者負担としている)ケースもある
負担金の算定基準となる電話番号の数には、他の電気通信事業者(MVNOなど)に提供している(貸し出している)ものも含まれる。そのため、番号の貸し出し元事業者は提供先事業者にユニバーサルサービス料を請求している。
電話番号を借り受けている事業者も、ユニバーサルサービス料を「事業者負担」「ユーザー負担」のどちらにもできる。負担金を課される事業者と同様にユーザー負担としている。
ユニバーサルサービス制度のスキーム。負担金を直接課される電気通信事業者は20社(2021年4月現在)に限られるが、20社から電話番号の提供を受けている電気通信事業者(MVNOを含む)にもユニバーサルサービス料は請求される。ユニバーサルサービス料(負担金)はユーザーに転嫁することも認められているため、ごく一部の事業者を除いて「ユーザー負担」を選択している(出典:総務省)
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