米国で値上げでも、「Amazonプライム」のお得感が際立つ理由

» 2022年04月28日 10時34分 公開
[山本竜也ITmedia]

 米Amazonがプライム会員の年会費を値上げしました。値上げ幅は20ドルで、月額会費は12.99ドルから14.99ドル(約1900円)、年会費では119ドルから139ドル(約1万8000円)。新規会員は2月18日から、既存会員も3月25日から新料金が適用されています。

 Amazonは値上げの理由について、「プライム会員特典の継続的な拡大と、賃金および輸送コストの上昇」のためと説明しています。2018年以降、プライム特典である無料同日配達は48都市から90都市以上に拡大し、送料無料のアイテムも50%以上増加。米国のプライム会員はプライムデーの買い物で数十億ドルを節約できたとしています。

Amazonプライム 米Amazonのプライム会費

 2005年に米国内の配送が無料または割引になるというサービスでスタートしたAmazonプライムは、もともとの年会費は79ドル。その後、2014年に99ドル、2018年に119ドルと20ドルずつ値上げしており、今回が3回目の値上げとなっています。

 値上げとなるとプライムを解約するユーザーも出てきそうですが、CNBCの報道によると、プライム会員は非会員よりもAmazonでの購入頻度が高いとのこと。値上げによるユーザー離れは、さして大きな影響はないという判断もありそうです。なお、Amazonは国別のプライム会員数を公表していませんが、全世界では2億人を超えており、2021年第4四半期のプライムを含むサブスクリプションの売上高は、前年同期比15%増の81億ドルに上ります

 もちろん、単に値上がりしただけではなく、サービス開始以来、さまざまなサービスが追加されています。まず、2011年にはプライム特典としてAmazonプライムビデオへの無料アクセスを追加。2014年には広告のないAmazon Musicや無制限ストレージのAmazon Photosをプライムメンバー向けに提供しています。その後も、毎月1000冊以上のKindle本を無料で読むことができるPrime Reading、子会社であるライブ配信プラットフォームTwitchでもプライムメンバーが利用できる特典を用意するなど、その利用価値は向上しています。

 この価格を高いと感じるか安いと感じるかは人によりそうですが、Amazonでよく買い物をするという人であれば、無料配送、翌日配送といったサービスだけでも元が取れると考えるかもしれません。一方で、そうした無料配送ではなく、動画配信サービスのプライムビデオに価値を見いだしている人もいるでしょう。

 動画配信サービスのライバルとなるNetflixは、2022年1月に米国での料金プランの値上げをしており、新しい価格はベーシックプランが月額9.99ドル(約1300円)、スタンダードプランが15.49ドル(約2000円)、プレミアムプランが19.99ドル(約2500円)。Amazonプライムビデオでは、1つのアカウントで同時に3台のデバイスでストリーミングが可能。Netflixではベーシックだと1台、スタンダードで2台、プレミアムだと4台で同時視聴ができます。

 プライムビデオがNetflixのスタンダード相当と考えれば、プライムの会費は決して高いわけでもありません。もちろんオリジナルコンテンツの有無などもあり、単純に比べられるものではありませんが、配送無料やその他のサービスも含めると、Amazonプライムのお得感が際立ちます。

Netflix 米Netflixの料金プラン。同時視聴はBasicなら1台、Standardは2台、Premiumなら4台可能。Amazonプライムは3台で同時視聴を行える。

 なお、これらはあくまで米国での話。日本の場合、2007年に開始されたAmazonプライムは、2019年に3900円から4900円(年額)へ初めて値上げされていますが、価格だけを比べるなら米国の3分の1以下と格安です。

 一方、日本の場合は2000円以上の買い物なら通常配送は無料。通常配送で4〜5営業日かかる米国とは違い、多くの場合は2日あれば届きます。雑貨や日用品などは、ヨドバシカメラも無料配送を行っていることもあり、当日あるいは翌日には届くお急ぎ便を使わなければ、送料の削減目的でAmazonプライムを契約するメリットは低くなっているといえます。

 とはいえ、プライムビデオが目的の動画配信サービス費用と考えれば、年間4900円、月額500円は魅力的。今後多少の値上がりがあったとしても、動画目的であれば費用対効果は高そうです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2025年12月07日 更新
  1. ヨドバシ通販は「高還元率で偽物リスク低い」──コレが“脱Amazon”した人の本音か (2025年12月06日)
  2. 「健康保険証で良いじゃないですか」──政治家ポストにマイナ保険証派が“猛反論”した理由 (2025年12月06日)
  3. NHK受信料の“督促強化”に不満や疑問の声 「訪問時のマナーは担当者に指導」と広報 (2025年12月05日)
  4. ドコモも一本化する認証方式「パスキー」 証券口座乗っ取りで普及加速も、混乱するユーザー体験を統一できるか (2025年12月06日)
  5. 飲食店でのスマホ注文に物議、LINEの連携必須に批判も 「客のリソースにただ乗りしないでほしい」 (2025年12月04日)
  6. 楽天の2年間データ使い放題「バラマキ端末」を入手――楽天モバイル、年内1000万契約達成は確実か (2025年11月30日)
  7. 楽天モバイルが“2025年内1000万契約”に向けて繰り出した方策とは? (2025年12月06日)
  8. 楽天ペイと楽天ポイントのキャンペーンまとめ【12月3日最新版】 1万〜3万ポイント還元のお得な施策あり (2025年12月03日)
  9. ドコモが「dアカウント」のパスワードレス認証を「パスキー」に統一 2026年5月めどに (2025年12月05日)
  10. Amazonでガジェットを注文したら、日本で使えない“技適なし製品”が届いた 泣き寝入りしかない? (2025年07月11日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー