その両社が共同開発し、発表と同日に発売したのが「ソラカメ」である。これはアトムテックの「ATOM Cam 2」と、ソラコムのクラウドカメラサービスをセットで提供するもので、初期費用が1台あたり2980円、なおかつサービスの利用料も月額990円からと非常に低価格で利用できるのが特徴。一部プランの利用者には発売から1週間限定で、カメラ本体の代金を1490円で販売するキャンペーンを実施するとのことだ。
玉川氏は今後、スマートフォンやデジタルカメラなど、人が操作するカメラだけでなく、ネットワーク接続して自立・遠隔操作するIoTカメラが大きく広がると説明。とりわけクラウドやエッジでのAI技術の進展が著しいことから、IoTカメラが「生き物の目のように、インターネット時代の目として進化する」と玉川氏は話し、高い可能性に注目しているという。
ただその普及を阻む要因として、玉川氏は1つ目に初期費用の高さ、2つ目に初期設定や操作が煩雑で一般の人が使いこなすのが難しいこと、そして3つ目に、セキュアにデータを保存できる環境を整備するのが難しいことを挙げている。そこでそれら3つの課題を解決するべく、提供するのがソラカメになる。
1つ目の課題は、現行のATOM Cam2をそのままソラカメ対応にして利用することで開発費を抑え、低価格を実現しているとのこと。2つ目の課題は、スマートフォンやタブレットがあれば5分で初期設定ができ、いつでもリアルタイムでの映像監視や、カメラの管理などができる仕組みを用意したという。
そして3つ目の課題は、クラウドに直接映像を保存する仕組みを用意することで解決、クラウドには「AWSの東京リージョンを使っている」(玉川氏)とのことだ。保存できる期間は料金プランによって7日から30日まで違いはあるが、期間内であれば保存された過去の映像をチェックすることも可能。またカメラ側に簡単なエッジ処理が入っており、動きや音を検知した時の映像をクリップしてすぐ見ることもできる。
同社ではサービス開始に先駆けてプライベートβ版サービスの提供を実施しており、その中からもさまざまなフィードバックが出ているとのこと。中でも要望が多いのがAIのアルゴリズムに関する要望であることから、同社ではS+ Cameraで培ったエッジAIカメラのアルゴリズムを、ソラカメでも利用できるようクラウドにも対応させる取り組みを進めている。
ちなみにプライベートβでの意見では、カメラにWi-Fiだけでなくセルラー通信の機能も搭載してほしいとの要望もあり、そちらの検討も今後進めたいとしている。ただセルラー通信の実装にはコストがかかり、カメラの価格が上昇してしまうことが懸念されるが、玉川氏は本体価格だけでなく通信料、そして持ち運ぶニーズが出てくることからバッテリーの搭載なども検討する必要も出てくると説明。顧客からのフィードバックを得た上で適切なプロダクトにしていきたいと話している。
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